2023 Fiscal Year Research-status Report
ノルウェーの文化政策と映画館の社会的役割についての調査研究
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23K00223
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
石垣 尚志 東海大学, 文化社会学部, 准教授 (50548013)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ノルウェー / 映画政策 / 映画館 / 市営映画館 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多様な映画文化の享受のための文化政策の内容と課題、地域の文化拠点としての映画館の役割を明らかにすることを目的とする。映画政策に関する研究では映画「製作」支援のあり方が議論されてきたが、製作された映画が社会に提供され、人々がそれをどのように「鑑賞(享受)」するのかについては直接的に問われてこなかった。それに対して本研究では、製作・配給・上映のすべてを政策のなかに位置づけるノルウェーの映画政策と市営映画館を考察する。具体的には、以下の2点の解明を目的とする。(1) ノルウェーの文化に関わる政策(文化政策、福祉・教育政策)における映画館の役割と位置づけを明らかにする。(2) ノルウェーの地方自治体の文化政策における映画館の役割(地域コミュニティにおける「文化拠点」「公共圏」としての役割)を明らかにする。 研究課題初年度の2023年度は、以下の二つの作業に取り組んだ。 まず、これまで収集してきた学術論文と行政資料にもとづいて、ノルウェーの文化・福祉・教育政策と映画館・映画政策との関係を考察した。とくに地方都市の映画館は、1900年代初めから、地域の文化拠点であり、また地域の社交の場(教会での礼拝の後に、みんなで映画館に映画を見に行く、など)という役割が期待されていたことが分かった。 つぎに、オスロ市とスタヴァンゲル市の映画館で現地調査を行い、オスロ市図書館・スタヴァンゲル市図書館で文献資料を収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献研究は順調に進んでいる。現地調査は3地点で行う予定だったが、実際にはオスロとスタヴァンゲルの2地点である。2024年度は現地調査を効率的に行えるようにスケジュールを検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は3地点で現地調査ができるように効率的なスケジュールを組む。文献研究については、これまで収集した文献資料の考察を進めつつ、新たに文献資料を入手して考察を深めていきたい。
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Causes of Carryover |
現地調査を3地点で行う予定だったが、スケジュール調整(研究代表者と現地での調査協力者との日程調査)に時間がかかってしまい、2地点での実施になったため、次年度使用額が生じた。次年度は効率的に調査が行えるようスケジュールを調整する(次年度は、現地の調査協力者との議論を対面で行わないため、スケジュール調整は研究代表者のみである)。次年度使用額は現地調査の旅費として使用する。
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