2023 Fiscal Year Research-status Report
子どもの居場所で開催される音楽コンサートに見る社会課題への対応
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23K00233
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
船越 理恵 東京藝術大学, 音楽学部, 研究員 (00829236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 史織 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (60844412)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 居場所 / 社会包摂 / 地域社会 / コンサート / アウトリーチ / 子ども食堂 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、子ども食堂が主催するコンサートを分析の対象とし、コンサートに出演した演奏家による実践での創意工夫に込められた意図を整理した上で、その創意工夫が子どもの居場所に対する働きかけとして機能しているのかを明らかにすることを試みた。研究成果は2023 年第 54 回大会日本音楽教育学会ポスター発表題目「子どもの居場所づくりと演奏家の創意工夫-子ども食堂での実践を事例として-」として発表済。
具体的には、子ども食堂にて 2021 年 7 月から 2023 年 1 月の間に実施された3件のライブコンサーを分析の事例対象とし、それぞれのライブコンサートに出演していた演奏家3名へリフレクションを実施、各実践において演奏家たちが創意工夫した点について聞き取りを行った。その後、演奏家によって語られた創意工夫が具体的に参照されるコンサートの場面を抽出、それぞれの場面の映像分析を通じて,子どもたちの反応する様子や場に生じた変化について考察を行った。以下考察内容である。 ●「子どもたちに純粋に音楽を楽しんでほしい」という思いのもとに実践される創意工夫について、こうした創意工夫が「子どもの居場所」あるいはその参加者に実際的にどう貢献するのかについては定かでなく今後の課題。 ●演奏家の意図どおりに子どもたちへの働きかけが成立・機能しなくても、参加者の間にはつながりや関わり合いが形成されていく場合がある。 ●ライブコンサートをきっかけに生まれたつながりや関わり合いが、子どもの集う「場」、あるいは子どもの居場所それ自体になっていくのか、なっていくとすればどのようなプロセスを経るのかについては今後の課題。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
子ども食堂での実践をフィールドワークし、参加者の様子をフィールドワークすることを予定していたが、撮影に際してはこまやかな配慮が必要であり、研究データとして活用ができる映像をおさえることがかなわなかった。よって研究の目的から乖離しないよう研究方法と研究データの採取方法を再検討し、2024年年始より演奏家を対象としたアンケート調査に取り掛かった結果、研究の進捗が遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年の年始より実施し、回答結果を集計している、子ども食堂での実践経験を有する演奏家を対象としたアンケート調査の結果を分析の対象とし、社会包摂的な環境づくりに関わるアウトリーチ実践の実態と課題を明らかにする。研究結果をふまえ、社会包摂につながるアウトリーチの手法に関して考察を行う。
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