2023 Fiscal Year Research-status Report
中国語上古音データベースの拡張-主に諧声情報・推定音データによる
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23K00502
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 慎吾 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (20513360)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 中国語上古音 / 諧声系列 / 押韻 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の課題の目的は、前回科研に引き続き上古音研究の各種資料を整理することで、新たな研究のための基本インフラを構築することにある。具体的には以下の項目の実現を目指している。①諧声系列データベースの構築、②上古推定音データベースの構築、③対音・非漢語資料、出土資料データベースの構築。これらを相互に結びつけ、さらに構築済の中古音データベース群と連携させて、ウェブブラウザで分かりやすく検索・表示できるサイトを構築する。 今年度(2023年度)は主に①諧声系列データベースの構築を行う予定であったが、検討の結果、②上古推定音データベースの構築を先に進めた方がよかろうということで今年度はそちらに注力した。その成果として、Axel Schuessler 氏の Minimal Old Chinese (OCM) と 後漢音 (LHan) の入力がほぼ終了し、現在最終チェックを行っている。現在は鄭張尚芳等、他の推定音との関連づけを行いつつ、検索システムの構築などについて鋭意検討中である。 また、上古音より前に、前回科研で残した押韻資料の整理を先に行うべきだということになり、そちらも平行して作業を行った。現在、于安瀾氏の押韻解釈について、六朝の前半がまもなく完成するところまで進捗している。これまでの成果は、すでに構築済の周祖謨氏のデータと共に「諸家先秦兩漢魏晉南北朝韻譜韻讀」と名付けたサイトで公開している。https://suzukish.sakura.ne.jp/search/xianqin/index.php
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) 諧声系列データベースの構築:計画通り 2) 上古推定音データベースの構築:計画通り 1) の諧声系列データベースについては、現在、データのフォーマットに関する検討を行っている。とくに諧声符が親子関係になっている場合の表現について、サンプルデータを作成し、よりよいコード化の方法を探っている。 2) の上古推定音データベースについては、Axel Schuessler 氏の OCM と LHan の入力がほぼ終了し、すでに構築済の廣韻データとのリンクもほぼ完成している。
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Strategy for Future Research Activity |
全体的に順調に進捗しているので、次年度は当初の予定通り、1) 諧声系列データベースの構築についてはデータフォーマットを確定させ、実際にデータ入力の作業に着手する。2) 上古推定音データベースの構築については Schuessler の音価がほぼ終了したので、Karlgren、鄭張尚芳のデータとのリンク作成に着手する。またこれまで通り、データの構築と平行して検索システムの改良を随時行う。
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Causes of Carryover |
(理由)今年度はデータフォーマットの検討など、経費のかからない作業が多かった。またデータ作業についても、入力を行っているアルバイトの作業が効率的に進み、比較的短時間の作業で済んだため、経費に余剰が生じた。 (使用計画)次年度はデータ入力作業が増えるため、繰り越した経費も含めて使用する。
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