2023 Fiscal Year Research-status Report
An acoustic study of the Hamkyeng Korean dialect in the 1970s
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23K00519
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 智ゆき 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (20361735)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 韓国朝鮮語 / 咸鏡道方言 / 音響音声学 / 音変化 / アクセント |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、Ramsey, S. Robert (1978) 著“Accent and Morphology in Korean Dialects: A Descriptive and Historical Study” (1978, Seoul: Tower Press)において使用された、韓国朝鮮語咸鏡道方言(朝鮮民主主義人民共和国)の録音テープ20本(両面各30分、2017年に電子化済)のうち、比較的録音状態のよいものを対象にテープ起こしを進めた。咸鏡道方言は弁別的ピッチアクセントをもつ言語であり、音調の違いが意味の違いに関与すること、また録音内容に方言独自の表現が多く含まれることから、テープ起こし作業はまず、咸鏡道方言と言語学的に近い特徴を持つ延辺朝鮮語(中国吉林省)の話者に依頼した。その上で、テープ起こしの全内容について、韓国朝鮮語の各種辞典・方言資料・アクセント資料(中期朝鮮語、延辺朝鮮語)を用いて確認を行い、語幹・アクセント等から出現箇所を検索可能な形にリスト化した。 一方、録音データの音響音声学的分析のため、音韻句の最初に現れる音節を中心に、Praat(Boersma & Weenink, 1992-2023年)を用いてセグメンテーションを行い、特に破裂音のVOTと単母音の性質について基礎的分析を行った。なお本研究に用いた録音データの音質は必ずしも最良のものではないことから、母音中央部のフォルマント値について、プログラムの測定ミスと見られるケースが散見された。そのため、フォルマントceilingや測定フォルマント数を様々な値に調整し、測定結果の比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ramsey氏の録音テープ起こし、各種資料に基づいた録音内容の確認とリスト化、録音データを音響音声学的に分析するための準備、破裂音VOT・単母音の性質に関する基礎的分析等、概ね順調に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、Ramsey氏の録音テープ起こし・録音内容の確認・録音データのセグメンテーションを進め、データの拡充を図る一方、子音・母音・アクセントの音響音声学的性質について分析を行い、測定結果を統計学的に検証する。
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Causes of Carryover |
今年度、調査・研究打ち合わせ等のための旅費を使用する機会がなかったことなどにより、次年度使用額が生じた。次年度は、テープ起こしとインフォーマント調査のための謝金、データ分析に必要なハードウェア・ソフトウェア購入費、方言資料の電子化費用等に助成金を用いる予定である。
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Research Products
(2 results)