2023 Fiscal Year Research-status Report
近世南アジアの船員に関する基礎的研究:東インド会社の現地雇用船員を中心に
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23K00867
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
和田 郁子 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (80600717)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 南アジア史 / インド洋海域史 / 東インド会社 / 船員 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、イギリス東インド会社とオランダ東インド会社が17-18世紀にインド洋海域での航海・交易活動を行うにあたり、現地で不足した人員を補うため、とくに南アジアにおいて調達した現地雇用船員について、一次史料に基づく実証研究を通してその実態に迫ることを目指すものである。 2023年度は、当初の研究計画にしたがい、まずBritish Library所蔵のイギリス東インド会社文書群のデータベースEast India Company Module IVを整備し、本データベースに収録された文書のなかから、主に南アジア人船員の雇用の始まりに関する情報を抽出・分析することから着手した。また、オランダ東インド会社についても、オンライン公開されているNationaal Archief(オランダ、ハーグ)所蔵のオランダ東インド会社文書群から、同様に同社による南アジア人船員雇用の初期についての情報を含む文書の抽出調査を開始した。これらと並行して、関連する刊行史料の収集と最新の研究動向をフォローするための二次資料の整備にも取り掛かった。 また、上記の一次史料の分析に基づき、2023年10月末に開催された東洋史研究会大会において研究報告を行った。この報告では、主としてイギリス東インド会社による南アジア人船員の雇用が開始される時期とその調達地を具体的に明らかにするとともに、オランダ東インド会社による南アジアの商館での船員雇用に関する初期の事例を紹介し、併せて今後の研究についての展望を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に沿って一次史料を整備し、情報の収集・分析を進めるとともに、全国学会において研究報告を行うこともできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は一次史料の分析をさらに進めるとともに、二次資料の拡充を行い、出張調査の必要な資料については海外資料調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度後半に他の研究活動が集中したことで研究文献の整備がやや遅れたため。昨今の為替動向を考慮し、海外資料調査と資料の拡充を可能な限り当初の研究計画に沿って実施するため使用する計画である。
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