2023 Fiscal Year Research-status Report
ロバーツ・コートにおける信教の自由・政教分離原則の判例法理の新潮流
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23K01063
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
神尾 将紀 創価大学, 法務研究科, 准教授 (10909477)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 信教の自由 / 政教分離原則 / アメリカ憲法 / ロバーツ・コート / 合衆国最高裁判所 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度である2023年度は、まず、ロバーツ・コートにおける信教の自由に関する判例法理の分析に着手した。とりわけ、COVID-19の感染拡大防止のために州が外出自粛命令を発出するにあたって、商業施設などは封鎖の対象外とする一方で、屋内での宗教的集会を制限・禁止したことが争われたRoman Catholic Diocese判決(2020年)やTandon判決(2021年)、および、COVID-19ワクチンの接種義務につき、医学的理由に基づく免除とともに、宗教的理由に基づく免除も認められるべきかが争われたDoes 1-3判決(2021年)とDr. A判決(2021年)を考察し、COVID-19のパンデミックの下での法的規制からの世俗的免除と宗教的免除の平等のあり方を検討した。これにより、信教の自由に関する新たな判例法理として、宗教に対する「最恵国待遇(most-favored nation status)」論なるもの(当該法律の下で、世俗的免除が付与されている場合は、それに匹敵する(comparable)宗教的免除も付与されなければならない、との論理)が採用されたことを確認し、その意義と限界を明らかにした。上記の研究成果(の一部)は、2023年6月に京都で開催された第85回「宗教法学会」でのシンポジウム「新型コロナウイルス感染症と宗教法」の第3報告「COVID-19ワクチンの接種義務化と信教の自由」として発表した(なお、この学会発表に基づく論文は、2024年11月発刊予定の「宗教法」(宗教法学会誌)第43号に掲載予定である)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ロバーツ・コートにおける信教の自由に関する一連の諸判決の考察を通じて、その新たな判例法理の動向(「最恵国待遇」論)を把握することができた点で、本研究の初年度の進捗状況は、おおむね順調である。もっとも、(宗教法学会から招待を受け)上記の研究成果の場が学会発表となったため、その論文としての公表は、学会誌の発刊の日程上、次年度に持ち越しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の2年目となる次年度の2024年度は、ロバーツ・コートにおける政教分離原則に関する判例法理の分析に着手する。その手始めとして、従前の合衆国最高裁判所の判例により政教分離原則の違憲審査基準として確立されたレモン・テストないしはエンドースメント・テストを(明示的に)適用することなく(さらには、それらテストの放棄を示唆しつつ)、公有地での戦没者追悼・顕彰のための十字架の展示を合憲としたAmerican Legion判決(2019年)、および、公立高校でのフットボール試合後のコーチによる祈祷を合憲としたKennedy判決(2022年)を取り上げ、アメリカにおける政教分離原則の違憲審査基準の現状と問題点を検討する。
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Causes of Carryover |
とくに、物品費について、ここ数年のうちに、ロバーツ・コートの下で、アメリカ憲法判例そのものが(信教の自由・政教分離原則の領域に限らず)大きく変容していること(たとえば、これまで判例上承認されてきた憲法上の権利としての中絶の権利を否認したDobbs判決(2022年)など)から、最新のアメリカ憲法判例を反映していない図書(主に洋書)の購入を(一部)差し控えたため、次年度使用額が生じた。これについては、次年度、引き続き、アメリカ憲法関連の新刊図書を購入するための費用に組み込む予定である。
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Research Products
(1 results)