2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K01178
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
白須 真理子 関西大学, 法学部, 准教授 (50609443)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 複合家族 / 親権 / 財産管理 / 婚姻費用 / 社会的親子 / フランス法 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、複合家族における子の財産上の権利義務について、国内の議論状況を整理・分析した。具体的には、未成年者(「X」という。)がその親権者たる実親(「A」という。)及び実親のパートナー(Xとは法的親子関係を有さない者。「B」という。)と同居している場合、その同居中およびA=Bが離別するに至った後に、B=X間にはどのような権利義務が与えられうるかを検証した。A=Bが婚姻している場合については、一方で、子の養育について婚姻費用分担義務による規律があるが、B=X間の関係における制度として十分であるかどうかという観点から、検討をおこなった。他方で、親権者が有する子の財産管理権について、特に、実親の他方(「C」という。)とBとの関係の調整を念頭に、事実上の生活関係が親権者の財産管理権に影響を及ぼしうるかどうかを検討した。A=Bが婚姻していない場合については、民法が定める婚姻制度や親子制度に準じた扱いとすべきかどうかという観点だけでなく、契約的規律の可能性も検討した。 第二に、フランス法におけるparentalite(最後のeにはアクサンテギュが付く。)概念が親権の財産管理権に及ぼす影響という観点から、同概念に関する学説を参照した。同概念については、これまでにも一部研究をおこなってきたが、本研究では、財産的な側面に着目している。parentalite概念は、親の職能を強調する概念であり、かつ、事実上の関係に説明を与えうる概念ということができる。そのような特徴が身上面と財産面で異なる扱いをもたらしうるかという視点から、分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の議論状況の整理およびフランス法におけるparentalite概念を通じた検討は、並行的におこなっている。おおむね予定通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、国内外の議論状況の整理と分析を進める。フランス法のparentalite概念については、特に身上面と財産面で異なる扱いをもたらしうるかという視点から、分析をおこなう。
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Causes of Carryover |
第一に、予定していた国内出張(研究会)がオンラインで開催されたことが挙げられる。第二に、円安の影響で海外出張にかかる費用が増大していることから、次年度に予定している海外出張の予算を確保するため、物品の購入を見送る等したことが挙げられる。 次年度使用額については、主に海外出張の費用に充てる予定である。
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