2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K01221
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
黒坂 則子 同志社大学, 法学部, 教授 (60441193)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 太陽光発電設備 / 宅地造成等規制法 / 原告適格 / まちづくり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年顕在化した新しい環境問題を中心に、開発者や土地所有者など関係当事者の責任と費用負担のあり方、そして周辺住民との関係、さらには国及び地方自治体の土地利用規制権限のあり方とその役割分担などを検討することで、新しい環境問題に即した包括的な土地開発法制を模索することを主眼とする。 今年度は、下記の研究の進捗状況に述べるように、アメリカの土地開発法制については、研究に着手したところであり、まずはわが国において新しい土地環境問題である、太陽光発電施設の設置に関する裁判例をとりあげ、研究した。わが国では太陽光発電設備への関心が高まる一方で、これが周辺環境に与える影響から、事業者、設置自治体、周辺住民との間で紛争が生じ、訴訟に至るケースが見られ、大きな問題となっている。今年度研究したのは、「宅地造成等規制法に基づく変更許可決定取消請求事件(第一事件)、宅地造成等規制法に基づく許可決定の無効等確認請求事件(第二事件、第三事件)」である。同判決は、太陽光発電設備の設置を目的とした宅地造成工事について、その(変更)許可処分をめぐる周辺住民の原告適格が争点となったものであり、国を挙げて再生可能エネルギーの普及拡大を進めているわが国において、今後も同種の事案が出てくることが予想されることから、先例的な価値を有するものである。この判決の判例評釈を環境法研究に公表した。太陽光発電設備に関しては、注目される判決も新たに出ていることから、引き続き研究することとしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度である今年度は、アメリカ法については、アメリカ行政法の著名な研究者であるJeffrey Lubbers氏(American University教授)に教えていただいた資料をもとに、研究に着手した。今後適宜、アドバイスをいただきつつ、研究をすすめることとしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカの土地法に関する文献を手に入れることができたので、これをもとに研究していきたいと考えている。研究テーマが広いので、最近の判例のある分野に焦点を絞るなどして、研究の射程を限定し、着実に研究が進むように心がけたい。なお、Lubbers教授からは適宜アドバイスをいただく予定になっている。
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Causes of Carryover |
本研究テーマに関する本格的なヒアリング調査を2025年度に行うことにしたことが主たる理由である。
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