2023 Fiscal Year Research-status Report
多国間鯨類管理レジームの行方:変革期の国際捕鯨委員会と地域協力体制の相互連関
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23K01289
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大久保 彩子 東海大学, 人文学部, 准教授 (40466868)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 鯨類管理 / 自然保護 / 国際制度 / バルト海 / 北海 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、北海・バルト海の事例に着目し、鯨類保全に関するレジーム・コンプレックスを構成する多国間制度のマッピングを行うとともに、既存研究における分析枠組みのレビューを実施し、予備的な分析結果を環境科学会において発表した。 また、ドイツ・ボンで開催されたバルト海・北海小型鯨類保存協定(ASCOBANS)第28回諮問委員会(Advisory Committee)にオブザーバーとして出席し、鯨類保全管理に関する多国間協力に関する情報収集と関係者との意見交換をおこなった。同委員会では、バルト海において長年の懸案となっているネズミイルカの保全政策の改訂のほか、小型鯨類に対する人為的脅威を軽減するための議論が行われた。具体的には、漁業における小型鯨類の混獲対策、水中騒音の軽減策、ホエールウォッチングによる悪影響軽減のためのガイドライン、軍事ソナーによる影響を軽減するための軍事当局との調整、ガスパイプライン(ノルドストリーム)破壊行動が周辺に生息する小型鯨類に及ぼした影響、また、欧州におけるエネルギー需給のひっ迫に伴う洋上風力発電の大規模化が生態系に及ぼす影響などについての多国間協議の状況と各国の交渉ポジションを実態に即して把握することができた。 北海・バルト海においては、鯨類の保全管理を対象に含むグローバルな枠組みと地域的枠組みが併存する中で、鯨類の消費的利用を前提に資源評価と捕獲枠遵守を図る国々と、鯨類の恣意的捕獲を原則禁止とする国々との間で「棲み分け」がみられる一方、海洋環境保護、混獲対策、船舶衝突対策に関しては、双方の国々が参加する諸制度間で知見の共有や対応指針の策定などがなされており、相乗効果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北海・バルト海の事例について政府間交渉への参与観察、関係者との意見交換を行うことができたことに加え、予備的な分析結果について学会発表を実施することができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
北海・バルト海の事例について文献調査を進めるとともに、他海域における地域枠組みとグローバルな枠組みに関しても文献調査と参与観察を実施し、レジーム・コンプレックスの構造とダイナミズムを検討していく。
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Causes of Carryover |
ASCOBANSの政府間交渉へのオブザーバー参加が実現し、あわせて関係者との意見交換を実施することができたこと、また、リサーチ・アシスタントを雇用しての文献収集は分析枠組みの検討後とすることが効率的との判断から翌年度に実施することとしたため。次年度使用額については、為替レート変動と物価高騰により当初見積もりよりも高くなると予想される外国出張旅費、および、リサーチ・アシスタントを雇用しての文献収集・分析に使用することを計画している。
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Research Products
(1 results)