2023 Fiscal Year Research-status Report
再生可能エネルギーとモビリティの効率的接続に関する制度設計の経済学的研究
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23K01403
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
荒川 潔 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40453493)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 太陽光発電 / 電気自動車 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、エネルギー消費効率の改善や環境負荷の低減のため、太陽光発電と蓄電池、電気自動車を統合したシステムの普及を促進する税制や料金体系、規制とは何かを解明することである。令和5年度は、消費者が太陽光発電の導入において現在と将来の収益や費用をどのように評価するのかに着目し、導入段階の費用と運用段階の収益や費用のどちらが太陽光発電の普及に効果的なのかを実証的に分析した。具体的には、全国の県庁所在地を対象としたパネルデータを作成し、太陽光発電に対する需要関数の推計を行った。そして消費者が導入段階の費用と将来に生じる収益と費用をどのように評価しているのかを分析した。分析の結果、消費者は導入費用よりも将来生じるメンテナンスなどの維持費用や自家消費で節約した電気代を最重視することがわかった。補助金や再生可能エネルギーの固定価格買取制度を利用した売電による収入は導入に有意な影響を与えていないことが明らかとなった。これらの結果から、太陽光発電のさらなる普及を図るには、導入段階ではなく運用段階の収益と費用に影響を与える政策が効果的であることがわかった。また、停電回数も導入に有意な影響を与えていることが明らかとなったが、これは地域の災害リスクを考慮した普及政策の必要性を示唆している。以上の結果に関連し、太陽光発電や電気自動車を導入したユーザーに対するアンケート調査のための準備を行うとともに、導入における社会的相互作用に関する文献調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
県庁所在地レベルでの実証研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は県庁所在地レベルの実証研究の結果を論文にまとめて投稿する予定である。また、アンケート調査のための準備を行うとともに、太陽光発電と電気自動車との接続に関する実証分析に取りかかる。
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Causes of Carryover |
研究成果報告のための外国出張を延期したため次年度使用額が生じた。令和6年度には国内外で研究成果を報告する予定である。
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