2023 Fiscal Year Research-status Report
Global Macro-Financial Linkages in Emerging Market Economies: Focusing on the Rise of Nonbank Finance and the Financialization of Foreign Direct Investment
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23K01449
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
塩谷 雅弘 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (70340867)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 対外債務 / ノンバンク金融 / 直接投資 / 新興市場国 / マクロ金融連関 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は研究の初年度として、以下のことを行った。第1は、新興市場国への資本流入における2つの傾向(ノンバンク金融化と直接投資の金融化)の状況調査と要因の検討(目的①)について、データの収集及び整備を行った。具体的には、IMFやBISの債務や銀行貸出のデータベースからデータを入手し、先行研究(Arslanalp and Tsuda, 2012, 2014など)にならい、一部の新興市場国を対象として、公的債務を債権者タイプごとに仕分けした。また、債務を債権者タイプごとに仕分けする研究の文献調査を行い(LSE library)、より精緻な仕分け作業のための有益な知見を得た。これらの活動により、状況調査や要因の検討を行うための基礎データベース整備の一部が完了した。第2は、資本流入におけるノンバンク金融化と直接投資の金融化がグローバルな金融ショックとマクロ経済の関係(グローバルなマクロ金融連関)に与える影響の検討(目的②)について、グローバルな金融ショックの特定とグローバルなマクロ金融連関を分析する枠組みの検討を行った。検討過程において、エクス=アン=プロヴァンス政治学院(Sciences Po Aix)で開催されたワークショップで関連する研究発表を行い、関連研究者から有益な助言を得た。また、因子分析など各国に共通するグローバルなショックを特定する統計的手法について文献調査による検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ノンバンク金融化と直接投資の金融化の状況調査のためのデータベース整備がやや遅れている。債務の債権者タイプごとの仕分け作業について、データ入手と仕分け作業が煩雑なためである。次年度は、民間データベースの利用契約を行うなど作業効率を向上させるための工夫をしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は研究の2年目として、以下のことを行う。第1は、新興市場国への資本流入における2つの傾向(ノンバンク金融化と直接投資の金融化)の状況調査と要因の検討(目的①)について、データベースの整備を継続して行い、地域間比較などにより特徴をまとめる。また、要因分析を行う。第2は、資本流入におけるノンバンク金融化と直接投資の金融化がグローバルな金融ショックとマクロ経済の関係(グローバルなマクロ金融連関)に与える影響の検討(目的②)について、これまで検討してきた分析枠組みにより、統計的分析を行う。研究成果は適宜ディスカッションペーパーにまとめ、国内外の学会で発表し、そして、そこで得た助言をもとに研究の完成度を高め、学術雑誌への投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
2023年度に実施予定であった民間データベースの利用契約が、準備作業の遅れのため次年度に実施することになった(予算区分「その他」)。
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