2023 Fiscal Year Research-status Report
The impact of financial crises on technological innovation: Empirical analyses based on patent data
Project/Area Number |
23K01474
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
澤田 充 日本大学, 経済学部, 教授 (10410672)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 金融危機 / イノベーション / 特許 / 銀行破綻 / コーポレートファイナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、1990年代後半(1997-98年)の日本の金融危機の事例に着目し、金融危機後の特許情報を長期にわたり観察することで、負の金融仲介ショックが技術的なイノベーションに与えるメカニズムの詳細を明らかにするものである。特に1997-98年の日本の金融危機はすでに発生から20年以上が経過しているため特許間の引用-被引用関係に関する豊富なデータの蓄積があり、先行研究では十分に検証されていなかったイノベーションの質的側面への影響をより精緻に計測でき、金融ショックから技術的イノベーションへの経路をより深く考察することを試みるものである。今年度は、Nikkei financial Questの『金融機関別借入金データ』および『銀行財務データ』より融資レベルで識別された取引銀行の健全性の指標(銀行の自己資本比率に関する指標や格付けの情報など)を用いて各企業についてどの程度負の金融ショックにさらされたかを計測した。さらに『IIPパテントデータベース』から特許情報に基づく技術的なイノベーションの指標を企業レベルで集計する。その際、(a)登録特許の数、(b)登録特許の被引用数、(c)登録特許の引用関係からみた技術的な広がりを見る指標(一般性および独創性)を中心に、金融危機前後の期間(1994-2001もしくは2003年)について企業・年レベルおよび市町村・年レベルで集計を行った。また先行して行った分析結果を『Does a Financial Crisis Impair Corporate Innovation?』というタイトルの論文してまとめており、2023年4月に国際学会、The International Banking, Economics and Finance Association(IBEFA) Meeting at the17th Western Economic Association International Conference, Melbourne, Australiaおよび10月にVietnam Symposium in Banking and Finance (VSBF), Hanoi, Vietnamにて同論文の内容報告している。これらの学会で得られたフィードバックに基づき、同論文を改訂している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行して行った分析結果を『Does a Financial Crisis Impair Corporate Innovation?』というタイトルの論文してまとめており、2023年4月に国際学会、The International Banking, Economics and Finance Association(IBEFA) Meeting at the17th Western Economic Association International Conference, Melbourne, Australiaおよび10月にVietnam Symposium in Banking and Finance (VSBF), Hanoi, Vietnamにて同論文の内容報告しており、順調に研究が進んでいると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は、(1)企業レベル(上場企業)の分析と(2)地域レベル(市町村)の分析で構成される。(1)については、『Does a Financial Crisis Impair Corporate Innovation?』というタイトルの論文してまとめており、論文をブラッシュアップし、国際学術誌への投稿につなげる。(2)については、登録特許の数、(b)登録特許の被引用数、(c)登録特許の引用関係からみた技術的な広がりを見る指標(一般性および独創性)を中心に、金融危機前後の期間(1994-2001もしくは2003年)について市町村・年レベルで集計を行っているが、これらのデータ整備をできるだけ早く終え、分析作業に移ることを目指す。
|
Causes of Carryover |
研究補助員に週1日6時間程度勤務してもらう予定だったが、募集をかけても適任者が集まらず、月に1回3時間程度勤務する方に依頼せざるを得なかったた。結果として、当初予定していた人件費を使いきることができなかった。次年度は、できるだけ早い段階で募集をかけ、データ整備などができう研究補助員の確保につとめる。
|