2023 Fiscal Year Research-status Report
中世日本貨幣史の再構築-北海道・東海地方の通貨事情及び物価変動に関する研究-
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23K01493
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Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
小早川 裕悟 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00785131)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 貨幣史 / 経済史 / 中世史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究の基礎作業である文献調査を中心に行った。調査した文献は、研究計画の通り、『県史』や『市史』などの郷土史料や荘園ごとにまとめられている文献資料があればそれらを対象とした。本年度の基礎作業の成果の1つとして、『出土銭貨』第44号(出土銭貨研究会)に論稿が掲載された。 初年度である今年は、基礎作業の内でも、最も時間を要すると想定される和市(物価)変動の調査に重点的に取り組んだ。その結果、各地に点在していた東寺領荘園の内、若狭国太良荘と備中国新見荘における和市のデータ化を行った。特に、若狭国太良荘については、『福井県史・通史編2・中世』第五章:中世後期の経済と都市、第一節:産業・交通の発展にて示されている太良荘の和市一覧(834頁~837頁)よりも詳細な結果を得ることができた。今後においては、本年度で得た各荘園の和市変動を分析し、通貨事情の解明に結びつけ、論文の執筆を進めていく。 さらに、先行研究で明らかとなっている通貨事情に含まれている一部荘園の和市変動の調査にも取り組むこともできた。こちらは、今後、先行研究で既に明らかとなっている通貨事情を加味して、検討を進めることで和市と通貨事情の連関性の解明に取り組みつつある。 以上の通り、本年度は2年目以降の研究において必要不可欠となる地道な基礎作業を行う年として位置付けているため、大きな研究成果を挙げるには至っていない。しかしながら、2年目以降の論文執筆などの研究成果をあげるには必須となる研究段階であるため、今後、本年度の成果を活用していく所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
和市(物価)研究において、当初に計画していた荘園の和市のデータ化を達成することができ、おおむね順調に研究計画を進めることができているといえる。今回得た和市のデータを活用し、他荘園や先行研究との比較・検討を速やかに行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に進展したデータ化された和市(物価)を利用し、他地域や先行研究との比較・検討を行う。また、2年目以降の研究目的として設定している北海道・東海地方の通貨事情に関する研究を文献史学・考古学の両者の観点から進めていく。
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Causes of Carryover |
当初に予定していた研究出張が校務の都合によりできなくなったため、次年度使用額が発生することとなった。次年度では、本年度に実行できなかった研究出張を行い、旅費として支出する見込みとなっている。
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