2023 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Study on Employment of Disabled People between Japan and Europe: Inclusion, Well-being and Work Ability of Disabled People
Project/Area Number |
23K01603
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
二神 枝保 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (10267429)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 障がい者雇用 / インクルージョン / 仕事能力 / ウェルビーイング / 日欧比較 / 人的資源管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
障がいのある人の就労・雇用の推進は、世界的趨勢である。世界保健機関(World Health Organization: WHO)によれば、世界人口の約15%、約10億人が障害をもつと推定される(WHO, 2011)。その約80%は、生産年齢人口であるとされる(ILO, 2015; 二神, 2016)。しかし、障害のある人びとがディーセント・ワークをもつ権利はしばしば否定されている(ILO、2015)。障害のある人もない人も、働きがいのある人間らしい仕事を実現すべきであるので、ディスアビリティ・インクルージョンは、グローバルに共鳴される最優先課題である。 本研究では、第1にフィンランドのソーシャル・ファームやフィンランド国立労働衛生研究所等へのヒアリング調査を行い、障がい者雇用のあり方を検討した。 第2に、フィンランド国立労働衛生研究所の障がい者のアンケート調査データを入手し、障がい者の認知するインクルージョン,ウェルビーイング,仕事能力についてデータ分析した。 第3に、その研究成果を国際学会や国内学会で報告し、専門家と知見を交換し、学術論文を執筆した。 Shiho Futagami and Erja Kettunen (2023) Work Ability and Inclusion of Disabled People: Implications for Inclusive Human Resource Management, The 27th International Euro-Asia Research Conference Proceedings(査読付). 二神枝保、チンテザ アンドレア コリナ(2023)「フィンランド、ソーシャル・ファームにおける障がい者の就労支援」『日本労務学会第53回全国大会報告集』(査読付).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、第1にフィンランドにおける障がい者の雇用支援の好事例であるILONAプロジェクトについて分析した。具体的には、ヘルシンキ・メトロポリタン地域再利用センター,ディアコニア応用科学大学(Diaconia University of Applied Sciences),フィンランド国立労働衛生研究所の担当者にヒアリングを行い、産学官連携による障がい者の雇用支援システムがどのように機能し、どのような効果をもたらすかを検討・考察した。 第2に、フィンランド国立労働衛生研究所によって開発された能力指標(Abilitator: Kykyviisari)で評価され、収集された障がい者のアンケート調査データを入手し、障がい者の認知するインクルージョン、ウェルビーイング、仕事能力について、データ分析した。また、フィンランド国立労働衛生研究所から翻訳する許可を得て、日本語版能力指標も開発した。 第3に、その研究成果を国際学会や国内学会で報告した。具体的には、The 27th International Euro-Asia Research Conference、The 17th International Conference of the European Association for Japanese Studies (EAJS)、The 17th Annual Conference of the Nordic Association for the Study of Contemporary Japanese Society (NAJS)、 The WORK Conference 2023の4つの国際学会及び日本労務学会で報告し、専門家と有益な知見を交換し、学術論文を執筆した。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、障がい者の認知するインクルージョン、ウェルビーイング、仕事能力について、データ分析した研究成果を国際学会及び国内学会で報告した。今後は、その学術論文を国際ジャーナル(International Journal of Human Resource Management等)に投稿する予定である。 第2に、特に障がい者の仕事能力を規定する要因について詳細に分析を重ね、その研究成果を参考にしながら、日本語版能力指標を用いて日本の障がい者雇用についても調査をする予定である。
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Causes of Carryover |
学術論文Shiho Futagami and Erja Kettunen 'Work Ability and Inclusion of Disabled People: Implications for Inclusive Human Resource Management'を執筆し、国際ジャーナル(International Journal of Human Resource Management)に投稿する前にネイティブによる英文校閲をする予定だったが、年度内に依頼することが間に合わなかったため、次年度に英文校閲を依頼し、英文校閲料として使用する予定であるため。
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Research Products
(10 results)