2023 Fiscal Year Research-status Report
医業経営データ分析環境構築のためのデータモデリングに関する研究
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23K01623
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
前田 瞬 長崎県立大学, 経営学部, 講師 (40758984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅野 潤子 長崎国際大学, 人間社会学部, 准教授 (00585606)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 医療情報システム / AI / オープン・データ / アジャイル・アプローチ / 実践主導アプローチ / ビジネスプロセス改革 / 意思決定支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2023年度は「現状の医療情報システムの課題解明」を成果目標として掲げ、研究代表者と研究分担者が協働して、以下の研究課題に取り組んだ。第1に、医業経営情報活用に関する最新の動向を把握するために、医療機関内の業務改革やDPCデータを活用した医業経営について、関連する文献収集を行った。また、複数の医療系学会へ参加し、医療情報の管理に関する情報収集を行った。第2に、システムを活用する医療福祉従事者を対象としたアンケート調査やインタビュー調査を実施するための社会調査に関する調査手法を検討した。第3に、AI(人工知能)やオープン・データの医業経営への活用可能性を検討した。 上記取り組んだ研究の成果として、論文3件、学会報告2件を公表した。 まず、前田(2023)の論文では、政府が公表している医業経営に関するオープン・データを利用して、それが医業経営の意思決定支援に貢献できるか否かについて検証した。次に、梅野(2023)の論文では、関連する社会福祉分野に焦点を当て、社会福祉専門職が電子記録システムに求めるニーズについて、インタビュー調査をもとに解明した。次に、梅野・前田(2024)の論文では、対人援助専門職関連領域である「児童福祉司」の業務に着目し、そのICT活用の現状と課題を示した。次に、前田・梅野(2024)の学会報告では、公的医療機関へのインタビュー調査に基づき、医療情報システムが、医療現場の業務改革に如何に貢献できるのかという点について、アジャイル・アプローチや実践主導アプローチに基づいて検証した成果を報告した。最後に、橋本・梅野他(2024)学会報告では、てんかん患者に対する自立支援医療利用の実態調査の結果を報告し、てんかん医療を提供する医療機関のソーシャルワーク業務の在り方を検討した内容を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度の実施計画、即ち、①医業経営情報活用に関する最新の動向把握、②システムを活用する医療福祉従事者を対象としたアンケート調査やインタビュー調査を実施するための調査手法検討、③AI(人工知能)やオープン・データの医業経営への活用可能性について順調に研究を遂行することができた。 前年度までに蓄積してきた研究成果を積み重ねて、新たな知見を盛り込んだ論文も3件公表することができた。併せて、今年度より着手した上記研究については、2件の学会報告において研究の途中成果を公表でき、他の研究者や実務家から広く意見をもらうことができた。 以上の理由により、2023年度の研究進捗に関しては「おおむね順調に進展している」と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の研究成果目標は「システムが備えるべき要件・機能の解明」である。この目標を達成するために、大きく2点の研究を遂行する計画である。第1に、システムを活用する医療福祉従事者を対象にアンケート調査やインタビュー調査を実施し、分析した結果を公表する計画である。分析手法は、Grounded Theory Approach(GTA)を用いる計画である。第2に、近年、経営情報学の一研究領域である「社会物質性(sociomateriality)」に着目し、本研究課題への応用を検討していく。 これらの成果について、各種学会報告を行い、論文として成果公表する準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は大きく3点ある。第1に、出席予定であった学会が校務が重なり、参加できなかったことが挙げられる。第2に、研究情報収集目的の研究会がフルオンラインで実施されたため、旅費が未執行となったことである。第3に、インタビュー調査出張期間が当初計画していた期日よりも短く設定したため、その分の旅費が下がったことである。 上記使用額も含めて今年度の経費使用計画は、研究遂行のための文献購入やシステム更新、インタビュー調査実施、研究情報収集目的や発表のための学会報告に充て、着実に、計画通りに研究経費を執行するように努めたい。
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