2024 Fiscal Year Research-status Report
An empirical and theoretical study of the double-accounting system in 19th-century American and British public utility companies
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23K01692
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| Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
春日部 光紀 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (10336414)
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| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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| Keywords | 複会計システム / 公益事業会社 / 資本勘定 / 収益勘定 / 一般貸借対照表 |
| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、19世紀ロンドンのガス会社に加えて、イギリスおよびアメリカ鉄道会社の会計実務を分析した。 運河や鉄道と異なり、ガス会社はロンドン近隣に位置していたため、人事交流を含めて会計技術の移転が生じやすかったと考えられる。ロンドンのガス会社は、当初は複会計システムを利用することが多かったが、次第に通常の貸借対照表へと変化していく。しかし、1871年ガス会社法では、複会計システムが強制適用され、実務の動向とは異なる結果となっている。複会計システムは、法制度上、1868年鉄道規制法によって強制適用されたのが嚆矢である。鉄道会社の社会的規模・影響力等を勘案すると、公益事業会社への会計システムとして社会的認知を得ていた可能性があり、これがガス会社法に影響したと考えられる。 上記の分析をもとに、イギリスおよびアメリカ鉄道会社の会計実務に対する分析も開始した。分析のアプローチとしては、第一に、株主宛年次報告書等を利用して会計報告書の様式や勘定科目の変化を分析し、会計技術の変遷を詳細に跡づける。第二に、取締役会議事録、監査報告書、株主総会議事録等を対象として、経営者はどのような会計問題に直面し、対応を試みたのか、監査人はどのような監査要点を重視したのか等、取締役や監査人の思考過程を分析する。併せて、ガス・鉄道会社を囲繞する社会経済的背景を考慮することで、会計実務の変化に対する影響を検討している。 今年度の研究成果に関しては、The 47th Annual Congress of the European Accounting Association, 28th-30th May 2025, Rome, Italyにおいて報告を行う(論文は採択済み)。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度から管理職(会計専門職大学院長)その他の業務が増えたことにより、タイムマネジメントがうまくいかなかった部分がある。また、管理等の業務が影響して史料収集の十分な日程を確保することができなかった。入手済み史料の分析を進めているが、次年度は、十分な史料収集を行う予定である。
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| Strategy for Future Research Activity |
事例分析・事例評価を進めるとともに、理論分析を開始する。たとえば初期の複会計では、固定資産への支出(資本的支出)は不変であると考えられた。したがって減価償却が行われるためには、固定資産概念の成立と減価の認識が必要となる。理論分析では、会計実務の変化を会計理論の観点から検討し、跡付けることで、会計理論の果たした機能を明確にする。
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| Causes of Carryover |
管理職となったことも影響し、特に、海外での史料収集を実施できなかった。
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