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2023 Fiscal Year Research-status Report

A sociological study on judgment and the sense of real in Arendt's thought.

Research Project

Project/Area Number 23K01721
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

橋本 摂子  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70323813)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2027-03-31
Keywordsハンナ・アーレント / ホロコースト研究 / 判断力 / 社会科学
Outline of Annual Research Achievements

1年目となる2023年度は、主にアーレント原著及びアーレント研究の文献調査から、アーレント全体主義理解における「事実」の位相の変遷を跡付ける作業をおこなった。同時に、在外研修期間を利用し、米国にて英語圏を中心とするホロコーストの関する基本文献の収集をおこなった。文献研究としては、実証歴史学を中心にアーレント以降の全体主義・ホロコースト研究を精査し、アーレントによる全体主義理解を経験的社会科学の系譜に位置付けるための準備を進めた。特に、第二次世界大戦中から戦後にかけて隆盛した大衆論とアーレントの『全体主義の起源』との理論的乖離に着目し、全体主義理解をめぐるアーレントの関心の焦点が、大衆の熱狂ではなく、絶滅収容所およびそれを可能にした官僚制に置かれていたことを確認した。
なお、今年度の成果は、下記の論文にまとめられている。
「アーレント全体主義理解における事実の位相:経験社会学との接続をめぐって」Arendt Platz 8号,2-14頁, 2024年3月.
また、探索的作業を進めるなかで、アーレントの提示した「共通感覚」概念が、思想史の系譜からみて特殊な位置付けをもつことを確認し、共通感覚の系譜からアーレント思想の特異性を明らかにするという新たな課題を設定した。この課題は本研究から得られる知見のさらなる深化を可能にするものであり、またこれまでアーレント研究においてほとんど着目されてこなかった論点であることから、国際的にみても重要な視座と考えられる。この課題についても、今後論文としてまとめられるよう作業を継続中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

今年度は、4ー8月が申請者の在外研修期間と重なっており、ある程度まとまった時間を研究に充当できたため、おおむね当初の研究計画の内容すべてを終えることができた。また、「共通感覚の系譜におけるアーレントの位置付け」という新たな課題を確認できた点で、当初の計画以上の進展がみられたと考えている。

Strategy for Future Research Activity

引き続き当初の研究計画にしたがって研究を進める。特に「共通感覚の系譜」を捉え直す作業のなかで、アーレントとともにカントの「判断力批判」に含まれる「共通感覚」の位置付けにも着目し、共通感覚概念を基線としてカントとアーレントとの差異を捉える。アーレントが独自の判断力論を構築する中でどのようにカントを継承し、またカントの圏域から離脱したかを明らかにする。それによって、カントからの偏差においてアーレント思想の独自性を明らかにするという本研究の最終目的に漸近したい。

  • Research Products

    (1 results)

All 2024

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] アーレント全体主義理解における事実の位相:経験社会学との接続をめぐって2024

    • Author(s)
      橋本摂子
    • Journal Title

      Arendt Platz

      Volume: 8 Pages: 2-14

    • Open Access

URL: 

Published: 2024-12-25  

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