2023 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化時代における多文化共生介護実践のあり方に関する方法論的研究
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23K01914
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
二瓶 さやか 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (60453346)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 介護実践 / 外国人介護職員 / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、わが国における介護実践について、多様な国籍の介護職員と協働していくために、多文化共生の視座のもと、時代に即した実践のあり方の提言を目指すことである。2023年度は、主に以下の2点の調査研究に取り組んだ。 (1)多文化共生介護実践に関するフィールドワーク 多文化共生介護実践論提言に向けた基礎研究として、多文化共生政策のもと介護実践を実現しているシンガポールを調査対象国として、文献研究・高齢者介護施設へのフィールド調査を実施した。本調査研究において、次の2点について報告するに至った。①国レベルでの外国人労働者の積極的な受入れ政策について、文献・公的なデータから概観し、多文化共生に根ざした国づくりには、言語政策によるコミュニケーションの共通性、宗教信仰をはじめとした民族融和政策、生活レベルでの多文化共生の方策等の取組みが功を奏していることが示唆された。 ②高齢者介護施設における多文化共生介護実践の現状・ケアマネジメントについて、サービス利用者・職員が共に多国籍・多文化のもと介護が提供されている施設では、コミュニケーション言語の共通性、外国人介護職員を受け入れるための研修プログラムの開発などが取り組まれていた。教育・研修プログラムの詳細な分析と日本への汎用の可能性については継続研究として取り組んでいく。 (2)外国人介護職員を対象としたインタビュー調査 2022年度からの継続研究として取り組み、これまでの研究で示唆された、外国人介護職員の実践現場への適応における異文化葛藤について、インドネシア国籍の介護職員を対象にインタビュー調査を実施し、分析に必要なデータを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎研究として位置付けた2023年度は、多文化共生介護実践のあり方を探究するために、フィールド調査の開拓を行い、対象国をシンガポールとして研究協力施設を得ることができインタビュー調査を実施することができた。また、インドネシア国籍の外国人介護職員を対象としたインタビュー調査に取り組んだ。インタビュー調査は、対象施設・対象者の都合により当初予定していた人数にて調査を実施することが困難となった。予定より少ない対象者によるデータ収集となったが、実施したインタビュー調査で得たデータにて、外国人介護職員に主眼をおいた介護実践に関する分析を行うことは可能であり、2024年度に取組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の継続研究として2点について取り組む。 (1)シンガポール国の高齢者介護施設における、教育・研修プログラムに着目し、その具体的な内容について訪問調査により明らかにし、日本における汎用の可能性についての分析を試みる。 (2)インドネシア国籍の介護職員を対象としたインタビュー調査のデータの分析に取り組み、外国人介護職員の日本の介護実践への認知と行動について整理し、異文化適応へのプロセス、日本人介護職員との関係構築についての類型化から、高齢者介護施設における教育的課題の抽出を試みる。 研究の対象としていた外国人技能実習制度は、2024年度を目途に廃止・新たな資格創設が見込まれていることから、国の動向を見ながら研究計画を適宜修正しいていく。
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Causes of Carryover |
研究初年時である2023年から、2024年にかけて、インドネシアにおける外国人介護職員の高齢者施設での介護実践について動画解析・行動分析を行う目的で、MacbookProを購入予定であった。しかし、対象施設への訪問の調整がつがず、研究を実施することができなかったため、未使用となった。また、日本における外国人介護職員のインタビュー調査において、施設・職員の都合により急遽未実施となる事態が生じ、差額が生じた。 使用計画として、2023年度には、新たな研究フィールドの開拓ができたため、インドネシアにおけるフィールド調査は、2025年度を予定する。、2024年度は再度フィールドの開拓、研究協力を得るための準備を行い、確実な訪問が見込まれる時点でPCの購入を行う。2023年度未実施となった、インタビュー調査は、2024年度に実施を依頼し承諾を得ることができているため、2024年度に実施する。
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