2023 Fiscal Year Research-status Report
カンボジアにおける人身売買の形態別被害者の比較研究:被害者支援の再構築に向けて
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23K01946
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
島崎 裕子 早稲田大学, 社会科学総合学術院(先端社会科学研究所), その他(招聘研究員) (90570086)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | カンボジア / 人身売買 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在カンボジアにおいて人身売買の被害は、強制売春、強制労働、強制結婚など複数存在する。本研究では、これらの被害別の共通性と差異を捉え、カンボジアにおいて多様化する人身売買の各形態の被害者らに適した社会的保護とその政策を検討することを目的とし、人身売買被害者の比較研究を行う。 今年度の調査では、従来の先行研究の整理考察を行いつつ、関係国でのフィールドワークを実施し、現在の動向を各関係機関からの聞き取りを行い、カンボジアで発生している人身売買被害者を被害別に背景分析を行った。被害者の背景分析は、具体的には、被害分類別の①被害前の経済・社会状況、②移動/移住労働等への誘因と生活環境、③被害別の移動プロセス/人的ネットワーク、④売買先となる国/地域によって異なる政策や対応とその影響などを比較した。それらの調査から、現在までの人身売買被害者間にみられる共通性と差異を明らかにし、「被害者間に階層性が存在しているではないか」という問いを証明していきたい。また上記分類をしたうえでさらに、移動距離によって売買される職種(強制労働形態)が異なる為、次年度は売買先や地理的距離にみる被害形態との考察なども追加して行っていく。 今年の調査結果などは、研究会などで発表を重ねてきた。次年度は、国際学会や、国際ジャーナルでの投稿を検討している。したがって、次年度も引き続き、これらの問題意識を踏まえ、詳細なフィールドワークを遂行したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も調査計画通りに、フィールドワークを遂行し、各関係諸機関との連携のもとで、安全等も保持しながら調査を発展させ、実証研究に基づく調査を遂行していきたい。また次年度は、フィールドワークを深く行いつつ、国際ジャーナルへの投稿、国際学会での発表を検討している。
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Causes of Carryover |
現在の円安の影響により、本計画書を執筆した時よりも、海外の研究調査、旅費等が想定以上に値上がりしており、かなりの支出が余儀なくされている(航空券は、申請時の倍の値段に値上がりしている)。特にカンボジアは米ドルでの支払いとなるため、東南アジア諸国においても金銭が倍に値上がりしている部分もある。したがって、次年度はより現地調査を深く行う計画の為、今年度調査費を調整した為である。
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