2023 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between changes in intestinal microflora and anti-allergic effects caused by ingestion of koji-fermented soybeans
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23K02043
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
山田 千佳子 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 准教授 (30351216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栃尾 巧 藤田医科大学, 医学部, 教授 (00557291)
藤木 理代 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 教授 (50454450)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 発酵大豆 / 食物アレルギー / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、麹発酵大豆の摂取による腸内細菌叢の変化と抗アレルギー作用との関連を明らかにするために、2023年度には食物アレルギーモデルマウスを作製し、原料である脱脂大豆と発酵大豆の摂取による腸内細菌叢の変化およびその後に誘導したアレルギー症状の違いを解析した。 BALB/cマウスを8匹ずつ4群(非アレルギー群、アレルギー群、大豆群、発酵大豆群)に分けAIN-93Gで飼育した。1週間予備飼育後、マウスにOVAまたはPBSを計6回腹腔投与し、OVAアレルギーを誘導した。感作後、OVAを50mg経口投与し、症状解析および投与30分前後の直腸温測定を行い、アレルギー誘導を確認した。その後、大豆群・発酵大豆群の飼料に1%(w/w)の大豆粉末または発酵大豆粉末を添加し、4週間飼育した。4週後に再度OVAを50mg経口投与し、症状および直腸温からアレルギー症状の変化を比較した。その後解剖し、血液、盲腸内容物、パイエル板の採取を行った。 まず、アレルギー症状の変化を比較した結果、アレルギー群と比較して大豆群、発酵大豆群ともに直腸温変化量に差は見られなかったが、症状スコアは有意に低下した。さらに、血中のOVA-特異的なIgG1およびIgEは発酵大豆群で有意に低下したことから、発酵大豆摂取によりアレルギー症状が緩和されたことが示唆された。この時得られた盲腸内容物中の細菌叢、短鎖脂肪酸の解析を行った結果、細菌叢解析ではβ多様性が大豆群、発酵大豆群と非アレルギー群、アレルギー群とで有意に異なっていた。さらにLEfSeにて種レベルを解析した結果、Ba.acidifaciensが発酵大豆群で増加し、Bu.virosaがアレルギー群で増加していた。しかし短鎖脂肪酸量は、大豆群でアレルギー群より増加したのに対し、発酵大豆群では有意な差がなく、菌叢の変動と短鎖脂肪酸の産生との間に相関は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初の計画としては、健常マウスを原料脱脂大豆粉末または麹発酵大豆粉末添加飼料で飼育した後にアレルギーを誘導する予防試験を先に行い、マウスにアレルギーを誘導してから大豆または発酵大豆を摂取させてアレルギー症状の変化を解析する抑制試験を後に行う予定であった。しかし、使用している動物室のスペース等の問題から先に抑制試験を行うこととした。予定の変更はあったが、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、健常マウスに麹発酵大豆または原料脱脂大豆を1%添加した飼料を摂取させた後にOVAを腹腔投与し、アレルギーを誘導する。2023年度と同様にアレルギー症状と腸内細菌叢を解析し、大豆群と発酵大豆群の違いを比較する。また、採取したパイエル板を用いてサイトカインの発現量を比較し、免疫応答を詳細に解析する予定である。
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Causes of Carryover |
解析予定であったパイエル板でのサイトカイン遺伝子の発現量解析が今年度できなかったため、この解析に使用する予定であった試薬購入費が次年度使用となった。
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