2023 Fiscal Year Research-status Report
新しい食生活を反映した「テクスチャー用語体系」の構築と食の変容の解析
Project/Area Number |
23K02049
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
早川 文代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, グループ長補佐 (00282905)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | テクスチャー / 食品 / 用語体系 / 官能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
テクスチャーは人間が感じるものなので、テクスチャー研究の前提として、テクスチャーを表現する言葉が整理されている必要がある。日本語のテクスチャー用語は、2003年からの研究代表者らの一連の研究により、445語が収集、整理、体系化されている。しかし、言葉は時と共に変容することから、新たなテクスチャー用語体系が必要であると考えられる。 今年度は、消費者を対象とした質問紙調査および文献調査により、新たなテクスチャー用語の収集を行った。具体的には、すでに有していたインターネットを介した調査(首都圏在住の女性、20歳~79歳を年齢層で均等に割り付けた240人を対象)の180品目の食物名に対する自由記述データを分析し、テクスチャー用語を抽出した。また、料理雑誌は、2023年に出版された3誌について合計47冊からテクスチャー用語を収集した。 その結果、重複を含め、消費者調査のデータからは約21000語が抽出され、雑誌からは約1200語が収集された。得られた用語の多くは2003年に収集したテクスチャー用語と共通であったが、新しい用語もみられ、用語体系のアップデートの必要性が確認された。新たな用語は、擬音語・擬態語の文字の微細な置換によるものが多かったが(「ぐにぐに」等)、中には、既存の擬音語・擬態語の構成単位の組み合わせによる新語の創出(「サクジュワ」等)、新たな擬音語・擬態語の創出(「ふしゅ」等)、カタカナ語の浸透(「エアリー」等)もみられた。これらの新しいテクスチャー用語の背景には、食物の変化のみならず、言葉の変化や流行も影響していると考えられる。本研究で構築する用語体系は、食品のテクスチャー研究や官能評価に利用することを第一の目的としているため、ごく一時的な流行語は対象としない。今後、集計、整理した後、用語の精査を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インターネットを介した消費者調査および文献調査によって、2003年の用語リストには含まれていない新しいテクスチャー用語を収集することができた。想定以上の用語が収集されたため、その後の集計、整理に時間を要したが、大きな進捗の遅れにはいたっていないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
消費者調査の結果から、流行語や個人言語と考えられる用語も多数収集されたため、用語の精査が必要である。次年度は、当初計画にあった、食品の専門家を対象とした調査および食品分野の論文・専門書からのテクスチャー用語の収集に加え、収集した用語について、認知度調査や妥当度調査等の検証が必要であると考えている。
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Causes of Carryover |
文献を購入せず現地調査で文献調査を行う、データ入力の委託を行わずに雇用した研究補助者と研究担当者自身が実施するなど、研究費を効率的に使用して発生した残額である。一方で、次年度は、今年度の結果から、妥当度調査等の必要性が生じたため、残額を謝金、委託費等として使用する。
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