2023 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブ教育の新展開に向けた児童生徒の社会的苦悩の分有化に関する研究
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23K02198
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
鶴田 真紀 創価大学, 教育学部, 教授 (60554269)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 発達障害 / 病気の子ども / 社会的苦悩 / インタビュー / 参与観察 / 特別支援教育 / 病弱教育 / インクルージョン |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は以下のような研究を行った。 第1に、インクルージョンに関する理論的検討、および発達障害のある児童生徒のインクルージョンの実践に関する社会学的先行研究の検討を実施した。インクルージョンの理論的検討に関しては、特別支援教育領域における研究蓄積を中心に探索したが、障害学における研究動向についても検討した。また、(理論的というよりは行政・制度的側面についてであるが)発達障害に関する国内の関連法規や制度的変更における先行研究についても調べた。 また、サファリングに関する理論的研究に着手し、社会学・医療社会学におけるいわゆる関連文献を収集し、選定の上、研究動向の把握に努めた。これに関連して、国内の病弱教育の実践についても文献を収集した。 第2に、本研究以前に実施した調査にて収集した発達障害関連の蓄積データの分析を実施した。蓄積データのうち、特にインタビューを実施した当事者に対して、追加での聞き取りが必要なケースが判明し、2024年度には再度のインタビュー調査を実施できるよう交渉する予定である。 第3に、病気の子どもに関する質的調査の可能性について、本研究以前から関わりのあった調査先に連絡をとり再開に向けて交渉しているところである。コロナ禍により調査が困難な時期が長く続いていたが、徐々に予備調査として再開できる可能性もみえてきている。2024年度に向けて研究代表者がコロナ以前から行ってきたボランティアとしての関わりを再開しながら、支援者へのインタビューなど可能なところから再開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、病気の子どもに関する予備調査を再開できなかったということが最大の理由である。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行した後も、小児病院では外部調査の受け入れは困難であった。だが、ボランティアの受け入れに関しては、現在、ほぼコロナ以前と同様の状況になっている。2023年度は、ボランティアの受け入れ日と調査者(研究代表者)の日程が合わなかったが、2024年度はボランティアベースではあるけれども調査先と具体的な関わりをもつことができる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には昨年度の計画を継続していく。2024年度の理論的研究に関しては、自閉症スペクトラムを中心とした「発達障害」が中心となる予定であるが、それを順調に進めるとともに、「病い」や「社会的苦悩」をテーマとする研究に関しても焦点をあてていきたい。また、実証的研究としては、発達障害当事者に対する追加のインタビュー調査を実施するとともに、小児病院での調査(予備的調査を含む)を実施していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、2023年度は調査の再開が困難であったため、それにかかる支出が大幅に減少したことによる。2024年度は再開見込みがあるため、計画に基づいて使用する予定である。
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