2023 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児の親による子育て支援利用の最適化のための広報手法の開発
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23K02243
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
長岡 千賀 追手門学院大学, 経営学部, 准教授 (00609779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一瀬 早百合 和光大学, 現代人間学部, 教授 (00601874)
松島 佳苗 関西医科大学, リハビリテーション学部, 准教授 (60711538)
加藤 寿宏 関西医科大学, リハビリテーション学部, 教授 (80214386)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 子育て支援 / 乳幼児 / 障害 / 広報 / 養育者 / 援助要請行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
子ども(乳幼児期)の育てにくさを感じていながら子育て支援の利用に至らない親が少なからず存在する現状を受け、本研究では、育てにくい子を含む障害児から非障害児までのすべての子どもの親が安心して子育て支援につながれる仕組みを創出することを目指す。そのため、(1)子育て支援の実践者がどのような規範的な論理を通じてその実践と経験を組み立てているかを明らかにする。次に、(2)支援者の規範的な論理との関連を踏まえ、乳幼児の親の子育て支援の利用を困難にしている要因を援助要請行動の観点から包括的に明らかにする。 本年度は、研究(1)のため、実践者を対象とした質問紙調査、ならびに行政によって発刊された子育て関連資料の分析を行なった。質問紙調査では1000人を超える実践者から回答が得られた。結果から、子育てを親だけではなく地域を含めた社会全体で担うべきだという観点が支持されながらも、子育ての最終責任は親にあるという二重の規範が共存している状況が明らかになった。また、子育て関連資料の分析では、母子手帳と共に配布されるガイドブックとアプリを分析の対象とした。相談窓口情報の提供実態を調べたところ、情報の不足や利用のしにくさが明らかになった。これらの成果を日本心理学会や日本発達心理学会にて発表し、更なる分析を加え論文執筆を進めている。 また、研究(2)で、乳幼児の親の子育て援助要請行動について検討するため、乳幼児の保護者を対象としたインタビュー調査を行なった。現在もインタビュー実施ともに、分析を進めている。また、社会調査データの二次分析により、相対的な発達の遅れのある子どもの親のネガティブな心理/行動の特性に関して検討し、論文執筆している。 以上のように本年度の検討は、子育て支援の多次元的な構造を探るための重要なステップを提供しており、今後の研究の基礎を形成するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
子育て支援の実践者を対象とした質問紙調査の協力者リクルートが当初の見込みを上回るペースで進んだ。これにより、実践者の規範的な論理に関する検討が当初の計画よりも早くに進められている。このほか、子育て関連資料の分析は順調に進めることができた。また、乳幼児の親を対象としたインタビュー調査における協力者リクルートは、研究倫理審査のために予想以上の時間が必要となったため遅れが生じているが、すでに委員会の承認が得られインタビューを実施している段階である。このため、全体としては、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究(1)では今後、子育て支援の実践者を対象としたインタビュー調査により、実践者の規範的な論理についてより詳細に検討を行う。質問紙調査の際に、インタビュー調査に協力いただける方を多数リクルートすることができたため、順調に実施できる見込みである。 研究(2)での乳幼児の親を対象としたインタビュー調査は、研究倫理審査委員会の承認を得て、現在進行中である。障害のある子どもの親に協力いただくことにより、支援利用を阻んだ問題や、親自身が持つ育児に関する規範的な論理を明らかにする。この検討の結果は、3年目以降に計画している、援助要請行動に関わる要因を明らかにするためのWeb調査に活用する。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査実施が遅延したため、および、旅費が当初の見込みより少なくおさえられため、必要となる謝金や旅費が計上していた額よりも少なかった。こうした理由で次年度使用額が生じた。 今後、インタビュー調査の際の謝金として、また研究結果を公表するための参加費および旅費として使用する計画である。
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Research Products
(3 results)