2023 Fiscal Year Research-status Report
孤立・孤独からセルフ・アドボカシーを導入した家庭科の系統的カリキュラム
Project/Area Number |
23K02381
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
川村 めぐみ 岩手大学, 教育学部, 准教授 (60614229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 美重子 川村学園女子大学, 生活創造学部, 教授 (60748987)
望月 一枝 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60431615)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | アドボカシー / 自己権利擁護 / 社会的孤立 / インクルーシブ |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもをめぐるいじめ、虐待、貧困、不登校や自殺の状況の深刻化、子育ての孤立、若年層の孤独の深刻さが(内閣府令和4年調査)明らかとなっている。また、コロナ禍においては、若年女性の自殺も増加。長引くコロナ禍の影響で、社会や他者との接点の少なさなどを要因とする社会的関係の不足や、頼りたくても頼れない等「望まない孤独」が一層深刻さを増し、その解消が課題として挙げられている。本研究の目的はセルフ・アドボカシーの手法に着目。家庭科への導入を検討し、社会的孤立を防ぎ地域や公的支援につなげ、ジェンダー平等な系統的教育カリキュラムを実証的に研究することである。研究初年度にあたる今年度は、事例調査の精緻化及び文献研究を積極的に行い、以下の知見を追加及び補強するに至った。 1点目は、理論的基盤を得るため、アドボカシーの6形態や5つの概念を概観し、類似概念とセルフ・アドボカシ―の相違の枠組みで整理・分析した。セルフ・アドボカシ―は「自己権利擁護」(クライエント自ら権利を主張する行為)として位置づけられ、自身が権利侵害を受けやすい(バルネラブル)状態にあることへの認識や、子どもが主体者として自分の権利について知る力に加え、自己決定の形成過程や主張段階、実現段階での支援の必要性に関する知見の追加・補強を得た。 2点目は、国内調査として、東学園や南アルプス子どもの村小学校・中学校に訪問調査をし、授業参観および教職員や管理職との懇談および研究発表に参加した。自己決定の原則で子どもが決め、個性や個人差を尊重する学校の取組から、家庭科の在り方を学校カリキュラム全体に位置づける試みをした。 3点目は、ケアの倫理を学ぶ教科、家庭科の授業研究の知見の補強として、インクルーシブ教育における研究会に積極的に参加し、ユニバーサル・ケアの枠組みからその研究動向に接近した。訪問先スペインの関連論文の検討をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一年目の活動及びゴールとしては、本研究の理論構築と土台作りであった。セルフ・アドボカシ―という手法・概念をどのように家庭科に位置付けるのか。文献収集と整理、および各種学会・研究会から知見を得る1年であったが、具体的な調査にかかることが出来なかった。また、量的調査を見送り、海外が調査への検討に時間が掛かったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究の方策として、海外調査を実施、視察に基づく授業分析および、多様性と包摂性および自己権利擁護の観点から調査・分析を進める。
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Causes of Carryover |
計画段階ではWebによる質問紙調査を予定していたが、2年目に予定している海外調査費用のための予算が必要となり、研究全体の計画から、調査方法を変更し、質的調査とし、Web調査費用を翌年度に回す必要があったため。
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