2023 Fiscal Year Research-status Report
フィンテックの進展に対応し社会のWell-beingを増進するための金融教育の実践的研究
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23K02443
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
阿部 信太郎 城西国際大学, 経営情報学部, 教授 (40348438)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 金融経済教育 / フィンテック / ウェルビーイング / 消費者教育 / 経済教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、世界に先駆けてフィンテックが進展し、生徒・学生対象の教材でありながら教員もともに学べる教材開発が先行している米国の教材について文献調査を行った。また、米国経済教育協議会(CEE)が開発した経済リテラシーテスト及び金融リテラシーテストの中から金融リテラシーに関わる核心的な問題を選び、小中高等学校で経済教育・金融教育を受けた大学生を対象に質的調査を実施した。その結果分析は経済教育学会2023年全国大会において報告した。米国の先進的な金融リテラシー調査研究を参照しつつ、それを翻案して日本の現状と課題について知見を得られたところに本年度の研究の意義と重要性があった。 フィンテックと個人・社会のウェルビーイングとの関わりに関する研究が先行しているEUについては、現地の研究者と交流するとともに情報収集を行った。特にフィナンシャル・ウェルビーイングに関わる重要な複数の論文の収集と分析を実施できた。この成果と意義は日本消費者教育学会関東支部40周年記念誌『消費者教育の新しい動向』(2024年6月発行予定)の第3部「消費者教育に求められる金融のリテラシーとウェルビーイングの視点」において簡潔にまとめた。次年度以降はこれをさらに発展させる予定である。 2023年は金融サービス提供法が成立するとともに、「貯蓄から投資へ」という政府の政策もあって金融教育が脚光を浴びている。また、フィンテック(Fintech)と呼ばれるICTを活用した革新的な金融サービスは、①支払・決済、②貸付・出資、③保険、④投資アドバイス・資産管理の4分野において急速に発展している。しかし生徒はもちろん、大人である教員でも急速に発展するフィンテックについて理解が追い付くのが困難である。本年度の研究成果は、こうした課題に対応するための基礎研究という観点からも意義と重要性を見出すことができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は欧州経済教育学会(AEEE:Association of European Economic Education)の学会大会に参加し、EUの研究者との会合を実施するとともに論文などの情報収集を行うことができた。EUにおける金融教育やファイナンシャル・ウェルビーイングについての研究を深めることができた。EUにおけるフィンテックに関する金融教育やフランスに焦点を当てた研究について、文献調査を中心に進めたが、まだ情報が十分ではないので次年度以降の研究課題である。 金融経済に関する標準テストの実施と結果分析については、その分野で先行している米国の調査ツールを翻訳し日本版に翻案して日本での妥当性を分析したうえで、日本の学生に対して質的調査を実施した。その結果分析として、日本の大学生の金融リテラシーの現状と課題について経済教育学会2023年全国大会で報告した。一方、フランスにおけるフィンテックに関する教材や標準テストについては文献調査と実施準備を進めている。本年度は調査票が間に合わなかったため、次年度以降の実施となる。
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Strategy for Future Research Activity |
米国におけるフィンテックの進展状況及びフィンテックの引き起こしている問題、フィンテックに関する金融教育の在り方と教材についてまとめる。まず日本において、インターネットで文献調査をする。次に、米国経済教育学会(Annual Meeting, Council for Economic Education)の学会大会に参加し、情報収集を行うとともに、共同研究者との会合を実施する。また、当該学会に参加するFRBの担当者に対してFRBの取り組みについて聴き取り調査を行う。米国おけるフィンテックに関する教材や標準テストを翻訳し日本版に翻案して日本での妥当性を分析したうえで、日本の生徒・学生に対する金融教育に活用する。その後、教材についての効果を測定するため、標準テストを用いて量的・質的調査を実施する。その結果については経済教育学会等での発表を予定する。 EUやフランスにおけるファイナンシャル・ウェルビーイングや金融教育に関する教材・標準テストについての文献調査を進める。教材・標準テストは日本語に翻訳・翻案し、日本の金融教育において活用し、その効果や示唆をまとめる。 フランスから共同研究者を招聘し、フランスにおけるフィンテックに関する経済教育と消費者教育についての国際会議(公開セミナー)を計画する。 最終年度は、前年度までに集計・整備したデータセットをもとに詳細な分析を行い報告書にまとめる。また、その成果を日本の学会(日本消費者教育学会、日本社会科教育学会など)や米国の経済学会で発表する。こうした調査研究成果は研究論文として、国内外の学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた調査のデータ処理が次年度に実施することとなったため、統計処理のためのソフトの購入と人件費が使用されなかった。それを次年度に統計データ処理のための費用として使用したいと考えている。また、本年度実施した米国の経済リテラシーテスト及び金融リテラシーテストの調査分析を学会で報告したところ、当該テストの日本語翻訳・翻案版及びその解説や調査結果について知りたいという反響があった。そのため、それらをとりまとめて科研の中間報告書として発行することとして、次年度に印刷費として使用したいと考えている。
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Research Products
(5 results)