2023 Fiscal Year Research-status Report
初等教育における言語能力育成カリキュラムのWeb協働開発システムの構築とその検証
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23K02457
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
守田 庸一 三重大学, 教育学部, 教授 (60325305)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 初等教育 / 国語科 / 読む力 / カリキュラムモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、初等教育で育成する言語能力全般を視野に入れて、Web上でのカリキュラム協働開発システムを構築し、その有効性を検証することにある。 この目的を達成するために、3年間の研究期間における1年次(2023年度)には、文字言語に関わる言語能力のうち〈読む力〉に焦点を絞って、それを育成するためのカリキュラムモデルを提案することを目指した。小学校の教科書等の内容も具体的にふまえながら、読みの技術を中核に据えたカリキュラムモデルを仮説的に定めて、また、教材研究に基づく学習内容等を取り入れたり、授業実践の典型例として読み方を学ぶための授業モデルを添えたりするなどして公開した。 ただし、その検討に時間を要したため、Web上で公開するには至らなかった。当初は、この公開を経て、多くの教師がカリキュラムモデルを加筆修正したり、カリキュラムモデルに基づき意見を交換したりすることができるシステムを構築することを目指していたが、これについては2年次(2024年度)以降の課題とすることとなった。また、本年度で公開したのは文学的な文章に関わるものであり、説明的な文章についての検討は今後の課題である。なお、説明的な文章に関しては、セミナーや学会のシンポジウムにおいてカリキュラムモデルを構築するための基礎研究としても位置づけられる発表を行うとともに、論文を執筆した。 上記のようにこれからに残された課題はあるが、本年度の研究においては、明らかにした成果を、当初の予定よりも多くの時間をかけて、印刷媒体によって小学校の教師や教職を志望する大学生に普及させ、その内容に関する意見を収集した。この点において、本年度は手堅い成果を得られたと言えるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度(2023年度)においては、当初の計画では、文字言語に関わる言語能力のうち〈読む力〉を育成するためのカリキュラムモデルをWeb上で公開し、多くの教師がそれを加筆修正したり、カリキュラムモデルに基づいた意見交換を行ったりすることができるシステムを構築する予定であった。 しかしながら、〈読む力〉の中でも文学的な文章を読む力に関するカリキュラムモデルの検討等に想定以上の時間を要したため、Web上での公開に至らなかった。また、説明的な文章を読む力に関するカリキュラムモデルの構築については、そのための基礎研究の公開にとどまった。 上記のように研究が遅れているが、文学的な文章を読む力に関わる研究が当初の予定以上に充実し、説明的な文章を読む力に関しても研究の礎が築かれている。このよう次年度以降の研究を進展させる成果が本年度末までに得られていることから、現在までの進捗状況について「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1年次(2023年度)における基礎研究を活かして説明的な文章を読む力に関するカリキュラムモデルの構築を急ぐとともに、カリキュラムモデルのweb上での公開に向けて研究を推進させる。 また、当初の研究計画においては、2年次(2024年度)には、文字言語に関わる言語能力のうち〈書く力〉を育成するためのカリキュラムモデルを提案する予定である。小学校における児童の文章表現力の育成に関して実績のある教師を研究協力者として、〈書く力〉の育成に関わる研究も推進させる。なお、上記の研究協力者との連携関係は1年次までに構築済みである。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、研究成果に基づいたweb公開を1年次(2023年度)に予定していたが、それが2年次(2024年度)以降となったため、web公開に関わる経費を次年度以降に使用することになった。2年次(2024年度)以降にweb公開を推進することによって、次年度使用額を執行する予定である。 また旅費に関しては、計画の段階では、対面による研究の発表・会合・打ち合わせ等を予定していた。今日では、新型コロナウィルス感染症対策を経て、オンライン等での実施が可能となっている。こうした状況を積極的に活かした研究の推進等に経費を使用することも検討する。
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