2023 Fiscal Year Research-status Report
音楽科における聴覚障害児の歌唱指導法の開発:音痴克服メソッドを適用して
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23K02489
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
小畑 千尋 文教大学, 教育学部, 教授 (20364698)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 聴覚障害児 / 歌唱指導 / 内的フィードバック / 発声 / 音痴克服メソッド |
Outline of Annual Research Achievements |
聴覚障害者にとって、自身の声をフィードバックすることは難しく、そのことが原因し、自分の発声にコンプレックスを持つ者が非常に多い。そこで本研究の目的は、聴覚障害児が自らの発声を楽しみながら歌唱活動を行うことにより自己肯定感を高めるための歌唱指導法を、内的フィードバック能力(自分自身の音高・音程に関する認知)に着目した音痴克服メソッドを適用して開発することである。 研究初年度にあたる本年度は、聴覚支援学校の小学部における音楽の授業観察、及び教員を対象としたインタビュー調査などのフィールドワークを中心に行った。対象は、異なる県に所在するA聴覚支援学校、B聴覚支援学校、C聴覚支援学校で、特にA聴覚支援学校、B聴覚支援学校においては継続的なフィールドワークを行った。また、異なる感覚の障害である視覚障害児への音楽指導について、D視覚支援学校の小学部における音楽の授業観察を行った。さらに、公共ホールEにおける聴覚障害者を対象としたコンサートに於いて、情報保障の方法等も含めて観察、インタビュー調査を行った。 同時に、2022年度にまとめた論文「重度の聴覚障害学生の歌唱活動における内的フィードバック能力の獲得過程」(『音楽教育学』第52 巻第1号、日本音楽教育学会発行に掲載)が、2023年度に実施された学会賞の選考対象となり、第8回日本音楽教育学会学会賞の受賞となった。本論文は、本研究に関連する研究であり(科研費、基盤研究C「課題番号19K02749」の一環として実施)、聴覚に障害のある大学生に対する継続的な歌唱指導と対象者自身の内的フィードバック能力の向上過程についてまとめたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から引き続き協力をいただいているA聴覚支援学校に加え、B聴覚支援学校においても、継続的なフィールドワークを開始することができた。また、歌うことが苦手な子どもを対象に、内的フィードバック能力獲得と音痴意識の克服を目的に実施した継続的な歌唱のグループ指導について、歌唱技能と心理面での成長に焦点を当て、国際学会で発表した。 以上の理由から、本研究がおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、継続して、研究協力校での音楽の授業の授業観察及びインタビュー調査を行うと共に、聴覚障害児を対象とした個別の歌唱指導の実践を開始する。
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Causes of Carryover |
理由:国際学会参加のための海外渡航費(航空券)が、概算よりも安価であったため。 使用計画:令和6年度も国際学会での発表を予定しているが、急激な円安により、渡航費が当初予定よりかなり高くなる見込みである。令和5年度に生じた次年度使用額をその費用に充当する。
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Research Products
(3 results)