2023 Fiscal Year Research-status Report
欧州を対象とした高等教育質保証機関へのメタ評価制度構築に資する実証的研究
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23K02522
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀井 祐介 大阪大学, 国際共創大学院学位プログラム推進機構, 教授 (30304041)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 高等教育質保証 / メタ評価 / ESG / ENQA / EQAR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である「我が国の認証評価機関の社会的および国際な通用性・信頼性を高めるためにメタ評価制度構築検討に資する知見を得る」ため、初年度として、メタ評価機関である欧州高等教育質保証協会( the European Association for Quality Assurance in Higher Education,ENQA)と欧州質保証機関登録簿(the European Quality Assurance Register for Higher Education, EQAR)のメタ評価実施機関としての位置づけ(形態、法的根拠、予算、会員制かどうか、メタ評価対象機関の数など)および両者の具体的なメタ評価活動(評価手法、評価サイクル、評価基準・項目の内容および数など)についてWebサイトからの情報を収集、精読した。 また、これらの情報を欧州におけるメタ評価活動の根拠である「欧州高等教育圏における質保証の基準とガイドライン(Standards and Guidelines for Quality Assurance in the European Higher Education Area (ESG))」第3部で「質保証機関に関する基準とガイドライン」と照らし合わせ、齟齬のないことを確認した。 さらに、メタ評価を受審しているデンマークとノルウェーの評価機関のメタ評価受審状況を確認し、メタ評価の根拠とされている自己点検評価報告書についてもWebサイトからダウンロードし、評価機関としての活動状況について確認した。 東京滞在中であったコペンハーゲン大学人文学部マリエ・ホイルンド准教授を大阪に招聘し、コペンハーゲン大学における大学院教育およびデンマークにおけるアクレディテーションについての意見を伺い、欧州高等教育の動向、評価機関、メタ評価機関の位置づけを再確認することも出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時研究計画において、初年度は「Web等での書面調査(メタ評価機関および北欧のメタ評価受審機関等)」を実施するとしており、申請時までに準備出来た部分も含めてWeb情報、入手した文書等の書面調査は順調に進んでいる。調査した内容は準備段階から想定していたものとそれほど違いはなく、現段階では、本研究で用いた手法が正しいことが確認出来た。これらの書面調査に基づき2年目の現地調査に向けた準備として評価項目、内容等を整理したマトリックスの作成に取りかかることが出来る状況である。これらのことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、書面調査で確認した項目、内容を精査し、分析枠組としてのマトリックスの作成を進めるとともに、調査対象をスウェーデン、フィンランドにも拡大し、根拠となる情報を増やすことで、作成するマトリックスの制度をあげる作業を進めていく。マトリックス作成と並行して、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの評価機関に連絡し、年度内の対面での現地調査のスケジュール調整を進め、先方とのスケジュール、旅費等の予算の調整が付けば最大で上記4ヶ国の機関を訪問し、メタ評価受審の意義、メリット、必然性等について確認したいと考えている。
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Causes of Carryover |
申請時に予定していた国内旅費、資料整理のアルバイト委託費が、年度内に大学を移籍したことによる研究計画変更のため使用できなかったことから残額が生じた。その分を補うため、資料整理は可能な範囲で自ら行うとともに、旅費についてはコペンハーゲン大学のマリエ・ホイルンド先生招聘による意見交換に充当した。それでも全額を使用することは出来なかったが、残額については、今年度に繰り越し、円安で渡航費が高騰しているデンマーク等の欧州訪問調査旅費とし出来るだけ多くの国の機関を訪問することに使用したいと考えている。
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