2023 Fiscal Year Research-status Report
場面緘黙児の認知・思考プロセスの特性が社会生活に及ぼす影響に関する研究
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23K02604
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鈴木 徹 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (10735278)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 場面緘黙 / エクスポージャ / オンライン面談 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、場面緘黙のある高校生1名を対象にオンライン面談を実施し、不安場面のレベルを測定した上で、段階的エクスポージャを行った。 オンライン面談の様子はとても良好で、面談を開始した当初は発話するまで時間がかかったものの、回数を重ねるごとにスムースに発話するようになり、表情も豊かになっていった(本人も良好な兆しがあることを自覚している旨の発言を行っていた)。学校や社会的状況における不安レベルの測定を終え、発話場面の拡大(エクスポージャ)に取り掛かろうとしたところ、対象者から支援を一旦中断してほしいとのお願いがあった。その理由を尋ねると、「緘黙症状が良くなりそうな気はしているが、受験や定期テストのことも考えなければいけず、気持ちがついていかない」とのことだった。数週間後、本人から「気持ちの整理がついたので(オンライン面談を)再開してほしい」との申し出があり、支援を再開することにした。エクスポージャの結果は概ね良好で、発話する場面と会話できる他者の拡大が確認された。対象者への支援を通して、場面緘黙に対する支援の多くは、緘黙症状の解消に焦点を当てているものの、支援を行う際は緘黙症状のみならず、対象の置かれている社会的・心理的状況にも注目し、支援のギアの上げ下げが必要であると思われた。対象者はこの春高校を卒業し進学した。次年度は、生活環境が大きく変わる際に生じる不安について、定期的に対象者に聞き取りを行うとともに、同年代の学生と比較することで不安が生じる背景要因を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、計画していた対象者への緘黙症状の改善に向けたアプローチを実施できた。次年度は、社会生活において生じる様々な困難に場面緘黙が及ぼす影響について迫りたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、社会生活において大きな変化(進学や就職)があった場面緘黙のある青年と定型発達の青年に対して、新生活を迎えるにあたり不安や楽しみに思うことを聞き取り、両者の違いを検討する。また、定期的な聞き取りを通して、社会生活に適応していく際、不安や楽しみがどのように変化していくのかを検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた出張を急遽取りやめにしてしまうことがあった。次年度は計画的に予算を使用するように務める。
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Research Products
(3 results)