2023 Fiscal Year Research-status Report
数理・データサイエンス・AIの理解を補助する文系学生向け演習教材の開発と効果測定
Project/Area Number |
23K02626
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
田島 貴裕 小樽商科大学, グローカル戦略推進センター, 教授 (80596205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 茂雄 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (70465912)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | データサイエンス / 情報教育 / 教育評価 / アクティブラーニング / 情報活用能力 / Computational Thinking |
Outline of Annual Research Achievements |
政府の「AI戦略2019」を受けて,全大学・高専生が「数理・データサイエンス・AI」を学修することが推進されているが,特に文系学生に対する興味関心の向上や基礎的素養の底上げなどが課題となっている。そこで,本研究では,文系学生がデータサイエンスへ興味関心を持ち,円滑な学びを支援する補助教材を開発し,実際に演習を行ってその教育効果を検証する。高い教育効果が期待できるように座学用の教材ではなく,身近なIoT,ロボットを題材として,実際に手を動かして回路の構築や制御を体験するアクティブラーニング型の演習教材を開発する。 2023年度は当初の計画通り教材及び評価指標の開発に取り組んだ。学生が自らブレッドボード上で電子回路を組み,シングルボードPCで制御可能な教材と実験手順書を作成した。演習の評価指標については,事前予備知識,情報活用能力,演習後の理解度,演習後の興味関心度(取組姿勢等の自己評価を含む),演習教材に対する全体評価の項目について検証を行った。事前予備知識は,高校の情報Ⅰの教科書の内容を検証し,それをもとに設問を設計した。理解度,興味関心度については本研究と同様な先行研究を参考に設問を設計した。情報活用能力については,文系学生を対象としたComputational Thinking尺度の先行研究を用いて演習対象学生と演習以外の学生に調査を行った結果,その有用性が確認できたので,これを用いることとした。 実際に試作した補助教材をつかって,文系大学生18名に対して演習を行い,事前の予備知識と情報活用能力,演習に対する理解度及び興味関心度を測定し,補助教材の教育効果の予備的検証を行った。また,初心者でもIoT制御,ロボット制御を簡単に体験できるような演習用の電子回路基板を設計・試作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,研究1年目は主に情報収集と,教材・評価指標の開発であり,概ね達成している。研究段階としては,大きく,①各演習テーマについて事前学修用教材と事後学修用教材,実験手順書の作成,②事前習熟度と情報活用能力の測定,③教材の理解度に関する確認,④興味関心度の測定に分かれているが,初年度は試行として各段階を全て実施している。教材開発については,シングルボードPCに接続するための演習用の基板設計・開発,製作を行っており,当初計画よりも若干早く進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は実証実験及び分析と改善を主に実施する。自習用教材の見直し,修正と実験手順書の改善,修正を行う。習熟度,情報活用能力,理解度及び興味関心度の測定方法についても検証及び修正を行い,開発した教材である演習用基板を用いて実際に授業を行い,各々の評価検証を実施する。 習熟度,理解度・興味関心度の測定については,初年度の予備的調査から結果のばらつきがやや少なかったので,演習対象者に対する聞き取り調査等を行い,引き続き内容の検証を行う。情報活用能力の測定については,先行研究サーベイから既存のComputational Thinking尺度を用いて予備的検証を行ったが,その有用性が高いと推測できたので,引き続き文系学生を対象に,演習対象者以外にも調査を実施し,測定指標としての検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
資料収集,調査を予定していた学会,研究会においてオンライン開催も併用されていたため,当初計画よりも旅費の支出が減少している。初年度に試作した基板を用いた演習内容の改善のために,IoT関連の電子部品を買増しする必要があることから,それに充当する予定である。
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