2023 Fiscal Year Research-status Report
部活動動機づけと学習動機づけの相互関係の検討:転移のメカニズムと促進要因の検討
Project/Area Number |
23K02862
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 雅之 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (00708703)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 多久磨 福山市立大学, 教育学部, 講師 (30747738)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 部活動動機づけ / 学習動機づけ / 縦断調査 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
中学校・高校の部活動には,生徒の主体性や学習意欲の向上などの教育的効果が期待されてきた。しかし,教育心理学分野では部活動に着目した研究は少なく,部活動の効果については実証的知見が十分に得られていない。とりわけ,部活動を通して主体性が高まったとして,それが学習などの他の活動の主体性に波及するかという,動機づけの転移現象についてはほとんど検討されてこなかった。こうした背景から本研究では,部活動動機づけから学習動機づけへの転移現象について,学習動機づけから部活動動機づけへの転移という逆方向の転移の可能性も考慮して検討することを目的としている。 本年度は中学生を対象とする3時点の縦断調査を実施し,ランダム切片交差遅延パネルモデル(Random Intercept Cross-lagged Panel Model)による分析を行った。その結果,部活動動機づけから学習動機づけへの影響について,部活動における自律的動機づけから学習における自律的動機づけへの影響がみられた。次に,学習動機づけから部活動動機づけへの影響について,学習における自律的動機づけから部活動における自律的動機づけと,統制的動機づけへの影響がそれぞれみられた。また,学習における統制的動機づけから部活動における統制的動機づけへの影響もみられた。したがって,部活動に自律的に取り組んでいる生徒ほど学習にも自律的に取り組むようになるとともに,学習に自律的に取り組んでいる生徒ほど部活動にも自律的に取り組むようになるなど,自律的動機づけが互いに転移する可能性が示唆された。さらに,学習することに被統制感を持っている生徒は部活動にも被統制感を持って取り組むようになるなど,統制的な動機づけも転移する可能性があることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中学生を対象とする縦断調査を実施したため,おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
縦断調査は学校現場にかかる負担が大きく,また,管理職の異動等による環境の変化により継続的な実施が困難になる場合がある。縦断調査の実施が難しい場合には,質的研究法を用いた研究を実施するなど,多様なアプローチにより研究を推進していく。
|
Causes of Carryover |
対面での会議が当初の予定よりも少なかったために,次年度使用額が生じた。次年度以降,連携を深めて研究をさらに推進できるよう,打ち合わせ等の頻度を多くする予定である。
|