2023 Fiscal Year Research-status Report
ガウス過程回帰と情報幾何からとらえる感性の普遍性と個別性
Project/Area Number |
23K03021
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
小森 政嗣 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (60352019)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ガウス過程 / 感性 / 個人差 / 普遍性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は,人々の複雑な感性の普遍性と個別性をガウス過程回帰にもとづいて明らかにする手法を確立することである.多次元の特徴次元を持つ刺激に対する人の判断・評価(ここでは感性と呼ぶ)を多次元のGP事後確率分布の集合として表現することで,人々の感性の多様性を情報幾何的アプローチにより理解する枠組みの構築を目指す.2023年度はStyleGAN2により多次元で表現された顔特徴とかわいさ,美しさ知覚の関連を題材に,ガウス過程回帰により推定された心的効用関数間の個人差を評価する手法の構築を試みた.実験は,参加者が8次元の顔空間から生成された4枚の画像の中から、最も美しいと思われる顔と最も可愛いと思われる顔をそれぞれ選ぶタスクを100回ずつ行うというものであり,実際に実験を行った.顔特徴に対する効用関数を,ガウス過程回帰の拡張であるガウス過程選好学習を用いて推定した.美しさとかわいさの知覚の違いを,個人レベルおよびグループレベルで比較するため,推定された効用関数の形状の違いだけでなく、Kullback-Leibler (KL)ダイバージェンスにもとづいて効用関数間のへだたりを評価した.これらの平均効用関数の比較からは、ほとんどの顔特徴において、美しさとかわいさの知覚に高い度合いの類似性があることが示された.一方で,個人内の美しさ知覚とかわいさ知覚の間のへだたりには大きな個人差があった.また,美しさ知覚,かわいさ知覚それぞれについてグループレベルでの平均効用関数を求め,これらの間のKL-ダイバージェンスの非対称性についても検討している.その結果,かわいさ知覚の個人差は美しさ知覚の個人差よりも大きなものであることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ガウス過程回帰によって推定された効用関数の情報幾何学的分析から,人の感性の普遍性と個別性の峻別を行う手法の確立をすることが本研究の目的である.2023年度はその足がかりとしてKL-ダイバージェンスによる人の感性の間のへだたりを定量的に示すことを行った.これによって示された感性の個人レベル・グループレベルの隔たりの妥当性の検証において困難が生じた結果,上記成果の公表には至らなかった.また,感性の普遍性と個別性の峻別を行うための情報幾何的な手法について検討を重ねているが,まだ実装には至っていないため,当初計画よりやや遅れていると言わざるを得ない.
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Strategy for Future Research Activity |
ガウス過程回帰によって推定された効用関数の情報幾何学的分析から,人の感性の普遍性と個別性の峻別を行う手法の確立をすることが本研究の目的であり,本年度はこの手法を確立し実装することを目指す.また実際に心理学的な実験を行いその有効性について検討を進める.
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Causes of Carryover |
2023年度は論文をOA誌などに複数投稿したものの,現時点では掲載決定に至っていない.しかし2024度はOA誌の掲載などで予算の執行を予定している.また,国際会議での成果公表も予定している.さらに新たな実験環境の構築も目指している.
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Research Products
(1 results)