2023 Fiscal Year Research-status Report
On new generalizations of Einstein-Kaehler metrics: relationships between their existence and stability
Project/Area Number |
23K03094
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中川 泰宏 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (90250662)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Keywords | Einstein・Kaehler 計量 / Kaehler・Ricci ソリトン / 満渕ソリトン / 定スカラー曲率 Kaehler 計量 / 端的 Kaehler 計量 |
Outline of Annual Research Achievements |
Kaehler・Ricci ソリトンや満渕ソリトンを含む Kaehler 計量の概念として,乗数的 Hermite・Einstein 計量がという Einstein・Kaehler 計量の一般化が満渕氏(大阪大学)によって提唱された.これを「σ-ソリトン(σ-soliton)」と呼ぶことにし,この一般化を参考にして定スカラー曲率 Kaehler 計量や端的 Kaehler 計量の一般化である「σ-端的 Kaehler 計量(σ-extremal Kaehler metric)」という新しい Kaehler 計量の概念を定義した.これらの新たな Kaehler 計量の存在問題について考察した.これらの Kaehler 計量の存在に対する障害として,二木不変量の一般化を定義することができ,その基本的性質について考察した.また,存在問題を考えるためのエネルギー汎関数として,σ-ソリトンに対しては Ding 汎関数の一般化を考え,σ-端的 Kaehler 計量に対してはKエネルギーの一般化を考えた.そして,これらのエネルギー汎関数の基本的性質を考察した.特に,各計量の存在性と対応するエネルギー汎関数の固有性(あるいは強制(coercive)性)との関係について考察した.また,σ-ソリトンの存在性と σ-端的 Kaehler 計量の存在性との関係についても考察した.さらに,議論をより鮮明にするために,σ-端的 Kaehler 計量の概念をもう少し一般化した「h-変形版端的 Kaehler 計量(h-modified extremal Kaehler metric)」という概念も導入した. これらの研究実績は,中村聡氏(東京工業大学)との共同研究として得られたものであり,現在学術論文としてまとめはじめたところである.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Einstein・Kaehler 計量や定スカラー曲率 Kaehler 計量の新たな一般化として導入した σ-ソリトンと σ-端的 Kaehler 計量に対して,そのエネルギー汎関数として Ding 汎関数とKエネルギーを一般化することに成功し,これらを用いてその固有性・強制(coercive)性と計量の存在性の同等であることを概ね示すことができたと思う.現在,これらの結果を学術論文としてまとめているところであり,まだ完成はしていないが,議論の詳細を精査しているところである.
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは現在まとめている途中である論文をなるべく早く完成させたい.その過程において議論の詳細を十分に精査する. 次に,Donaldson が提唱し,Chen・Cheng や Darvas・Lu 等により考察されている測地線的安定性(geodesic stability)との関係も考察したい. また,特別な σ に対して必ず σ-端的 Kaehler 計量が存在するような偏極多様体のクラスがあるかという問題を考察したい.例えば σ(t)=-t のときに,偏極トーリック多様体上に必ず σ-端的 Kaehler 計量が存在することが示すことができないかを考察したい.この事実が正しければ,偏極トーリック多様体に定スカラー曲率 Kaehler 計量が存在することとその二木不変量が消えることが同等であることが示される.
|
Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) ようやくコロナ以前の状況に戻りつつあるが,まだまだ開催されている研究集会や研究セミナーがオンライン開催(あるいはハイブリッド開催)のものが多く,実際に対面で参加しなかったため.
(使用計画) 2024 年度は積極的に研究集会や研究セミナーに対面で参加しようと考えており,そのための旅費に使用したいと考えている.また,使用しているプリンター等の機器の更新にも使用したいと考えている.
|
Research Products
(3 results)