2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K03109
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西村 尚史 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 非常勤教員 (80189307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原下 秀士 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (70396852)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 包絡超曲面 / 創造的条件 / ガウス写像 / フロンタル / envelope / creative condition / Gauss mapping / frontal |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は研究代表者の論文 Takashi Nishimura, Hyperplane families creating envelopes, Nonlinearity, 35(2022), 2588 に端を発する研究であり,(A)「実数体R上のアフィン空間内の超曲面族に対し,(i)包絡超曲面を有するための必要十分条件,(ii)包絡超曲面を有するとき一意的であるための必要十分条件,(iii)包絡超曲面を有するとき包絡超曲面の表示公式,の三つを得ること」,(B)「配位空間が実数体上のアフィン空間ではないとき,(A)における(i),(ii),(iii)を得ること」の二つを当初の研究目的としている. (A),(B)についての2023年度の研究実績の概要を記す.(A)については,実平面内の円族に関する(i), (ii), (iii)をYongqiao Wang講師(大連海事大学)と電子メール等で共同研究を行い,共著論文1編を著し出版に辿り着けた.このテーマに関するYongqiao Wang講師との共著論文はもう1編著しているがこちらは現時点では投稿中である.(B)については,複素アフィン空間内の超平面族に関する(i), (ii), (iii)について,Stanislaw Janeczko教授(ワルシャワ工科大学),Maria Aparecida Soares Ruas教授(サンパウロ大学サンカルロス校)との共同研究をワルシャワ工科大学やサンパウロ大学サンカルロス校で精力的に実施したが,ガウス写像の定義が鍵になりそうということが判明した段階であり,実績と呼べるものはまだない. 学会等での発表については2023年度は5回実施した.そのうち海外での研究発表はポーランドで2回ブラジルで1回実施し,上記論文やその後の進展に関してコロナ禍中は不可能であった海外での周知・広報に着手した...
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的の(A)は,Yongqiao Wang講師(大連海事大学)との共同研究で実平面内の円族についての(i), (ii), (iii)の結果を得ることができ既に1編の論文を出版できている.その一方で,高次元実アフィン空間内の超球族については未だ研究中である.円族の場合のアナロジーは通用せず全く新しいアイデアが必要そうであることはわかってきたが,その新しいアイデアが何なのかが全然見えてきていないのが現状である. 研究目的の(B)は,複素数体C上のアフィン空間内の超平面族についての共同研究をStanislaw Janeczko教授やMaria Aparecida Soares Ruas教授らとスタートさせたが,もっとも単純そうな「R^2内の直線族についての結果を複素化したときの結果の複素幾何学的意味付け」について議論を進めているものの,配位空間が複素アフィン空間の場合のガウス写像が鍵になるであろうということについては共通した認識を持つことはできているものの,まだ結果と言えるものはない状況である. このような状況であるので,「現在までの進捗状況はやや遅れている」と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
Stanislaw Janeczko教授とMaria Aparecida Soares Ruas教授との2023年度の共同研究は,「複素アフィン空間内の超平面族の包絡超曲面」のみでなく,「線叢や法線叢」も新しいテーマとして取り上げている.「線叢や法線叢」は当初の研究計画にはなかったテーマであるが,本研究全体の鍵である「創造的条件」の見方を変えてみると自然にたどりつくテーマであることが2023年度中に判明し,このテーマも本研究で取り扱うことにした.Stanislaw Janeczko,Maria Aparecida Soares Ruasの両教授とは「2025年度にまた集中したディスカッションを開催しよう.2024年度中は電子メール等で議論を続け,上記のテーマのいくつかには共著論文を著して投稿できるように努めよう」という予定になっている. また,2024年度には本研究からの補助により中国に2週間程度出張し,東北師範大学・哈爾浜工業大学威海校・大連海事大学を回る予定を立てている.2022年度にCSC-YNU joint scholarship programで横浜国立大学に滞在していたPengcheng Liは当時は東北師範大学ドクターの学生だったが現在は哈爾浜工業大学威海校の講師であり,横浜国大滞在中に共著論文を著せるよう努力していたが,学位取得や就職を控えて忙しかったこともあり共著論文作成には結び付かなかった.そこで,私の中国滞在中にPengcheng Li講師と「球面内の大超球族の包絡超曲面」について集中的な研究ディスカッションを繰り返し,論文執筆に結び付けたい.また,Yongqiao Wang講師(大連海事大学)とは「実アフィン空間内の超球面族の包絡超曲面」について,私の中国滞在中に集中的な研究ディスカッションを繰り返し,論文執筆に結び付けたい.
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Causes of Carryover |
2023年度は3週間程度の海外出張を2回実施しているが,コロナ禍直後であり円安や原油高も影響し国際航空運賃が高止まりしていて,予算不足に陥りそうになった.そこで,2023年度は前倒し請求(直接経費\200,000,間接経費\60,000)を行った.前倒し請求した予算はほとんど使い切ったが若干の剰余金(\2578)が生じたので,次年度に繰り越した.2024年度も複数回の海外出張を予定しているので,繰り越し分は2024年度の海外出張予算に充当する予定である.
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