2023 Fiscal Year Research-status Report
拡大ワイル群の不変式論と原始形式・フロベニウス構造
Project/Area Number |
23K03111
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白石 勇貴 大阪大学, インターナショナルカレッジ, 講師 (40773990)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Keywords | 原始形式 / 平坦構造 / 一般化ルート系 / フロベニウス多様体 / 非可換特異点解消 / 部分巻き深谷圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
射影直線が一列にnodal特異点でn個繋がったもの(射影直線の鎖)や,その両端を一点の軌道体点を持つ軌道体射影直線に置き換えたものの非可換特異点解消,そのミラーとなる点付き境界を持つ円筒(MBA)と原始形式の組,MBA内のラグランジアン曲線がなす一般化ルート系の拡大ワイル群の不変式論を研究した(池田暁志氏,大谷拓己氏,高橋篤史氏との共同研究).特に,拡大ワイル群の不変式論による軌道空間上の平坦構造の構成の研究において,従来のD.Zuo氏(我々の研究のn=2の場合に対応する)が用いた座標変換(の拡張)がミラー相手であるMBAの判別式との整合性において重要な役割を果たすこと,ミラー相手のMBAを見て単位ベクトル場の選択するという従来には無かった現象が起こることが分かった.現在これらをまとめ共著論文を作成中である. アファインA型の点付き境界を持つ円筒において,球面捻り函手,Dehn捻り,アフィンワイル群の拡大を考える際の無限巡回群の対応関係が明白となった.この対応関係の考察を更に推し進めて,オイラー数が正となる軌道体射影直線の連接層の導来圏の充満例外列のなす同型類の無限集合をこの球面捻り函手の作用によって割ることで,その商集合の濃度は有限となりDeligne型漸化式が成立すること,更に,この濃度が軌道体射影直線のミラーであるアフィンカスプ多項式の変形理論におけるLyashko-Looijenga写像の次数と一致することを示した(大谷拓己氏,高橋篤史氏との共同研究).この内容を論文(arXiv:2308.04031)にまとめ,現在専門誌に投稿中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
拡大ワイル群の不変式論による平坦構造の構成において重要な知見を得たため.また,点付き境界を持つ曲面の写像類群と,拡大ワイル群,球面捻り函手の関係が明白となり,平坦構造において重要な数値的不変量を純粋な圏論的構造から抽出できたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに研究を推進する.
|
Causes of Carryover |
得られた成果を論文にまとめる作業に集中したため.また様々な学内業務の大幅な変更があり,それらに従事したために,当初計画していた共同研究のための出張や勉強会などを延期したため.今年度はこれまで得られた結果を学会などで発表し,また幾つか勉強会を開くなどに使用する.
|