2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K03178
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
足達 慎二 静岡大学, 工学部, 教授 (40339685)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 変分解析 / 非線形楕円型方程式 / 可解性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はシュレディンガー型半線形楕円型方程式に対して,非線形項の遠方での増大度を仮定せずに正値解の存在についての研究を行った。変分的アプローチを用いて解構造を議論する際,ベースとなる関数空間からの要請で優線形劣臨界増大度を課して議論することが一般的であるが,このような条件を課さない場合は,変分解析の適用条件から考えていく必要がある。本研究ではまず,変分的手法が適用可能となるように非線形項を適切に修正し,修正方程式に対して臨界点理論を用いて正値解の存在を示した。次いで,修正方程式の解のアプリオリ評価を導出し,方程式に含まれるパラメータが十分に大きい場合,修正方程式の解が元の方程式の解となることを示した。このように一旦方程式を既存の臨界点理論が適用可能なように修正し,そこで得られた解が元の方程式の解であることを示す手法はよく用いられるものであるが,修正方程式と元の方程式との関係性についてはその都度,詳細な解析が必要となる。本研究では正値解のアプリオリ評価と Moser の反復法を組み合わせることにより,この関係性を明らかにすることができた。この結果は双対変分アプローチを直接的に適用できない準線形楕円型方程式に対しても応用できる可能性があり,変分解析の新展開を生む重要な成果である。 また,ソボレフ臨界型の非線形項を持ち,全空間で定義されたスカラー場型半線形楕円型方程式に対して,変分的アプローチを用いて正値解の存在について研究を行った。今年度は 2 重冪型の一般的な非線形項を考え,一方がソボレフ臨界増大度を持つとき,基底状態解が存在するための低次項に対する条件を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載した研究目的「非線形楕円型方程式に対して変分的手法を用いて理論解析を行い,これまで変分的手法では扱うことができなかったクラスの非線形項を持つ楕円型方程式の解構造を明らかにすること」について,非線形項の遠方での増大度条件を課さずにシュレディンガー型半線形楕円型方程式の可解性を示すことができたので,研究は順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今回得られたシュレディンガー型半線形楕円型方程式の解構造に関する研究成果をプラズマ物理学由来の準線形楕円型方程式へ応用し,変分解析の新展開を生み出す。 具体的には今回得られた解のアプリオリ評価を用いることで,より広いクラスの準線形楕円型方程式に対して双対変分アプローチを適用し,これにより準線形項や非線形項のさらなる一般化も視野に入れて研究を推進する。 また,2 重冪型の非線形項に対する研究成果を論文に纏め,この成果の応用についても研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
研究協力者との研究打合せについての旅費を計上していたが,この打合せを研究集会への出張に合わせて何回か行うことができたので,次年度使用額が生じた。この次年度使用額は研究打合せの回数を増やし,その出張旅費として使用する計画である。
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