2023 Fiscal Year Research-status Report
符号・量子符号のための曲線の探索と数理的特徴の究明
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23K03199
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
川北 素子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (80467373)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 有理点 / 代数曲線 / 符号 |
Outline of Annual Research Achievements |
インターネット、スマホ、電子マネーなどICT社会において、情報通信の正確さを保証する技術は必要不可欠である。符号理論は、まさにその役割を果たしている。1970年代に、ゴッパにより代数幾何符号が発見された。代数曲線から符号が構成できることがわかった。さらに、有限体上において多数の有理点をもつ代数曲線から効率のよい符号が構成することが示された。その中でも、上界に達するものが論理的に最もよい符号を与える。 ハッセ・ヴェーユ上界に達する代数曲線は最大曲線とよばれ、多くの研究成果がある。しかし、最大曲線ではないセール上界に達する代数曲線は、規則性がまだわからないので、存在すら未知の場合が多い。応用としてよい符号を与えるだけでなく、数学的にも興味ある研究対象である。今年度、セール上界に達する新しい代数曲線を発見できた。その方法を簡潔に紹介したい。 まず、ある種の定義方程式を持つ種数2の代数曲線の有限体上でのヤコビアンの完全分解に成功した。これが最も大きい成果と言える。続いて、特定の定義方程式を持つ次数6の代数曲線をその種数2の代数曲線にヤコビアン分解した。それにより、その代数曲線は完全分解することになる。次数6の代数曲線の中で、種数が6と10の代数曲線について、コンピュータ探索を行った。有理点を多数もつ代数曲線を得ることができた。探索アルゴリズムをさらに高速化することで、セール上界に達するものが発見できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、種数2のある種の代数曲線のヤコビアンの完全分解が得られたことにより、順調に本研究課題を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、種数2のある特徴を持つ代数曲線のヤコビアンの完全分解を与えた。今後この方法を拡張して、より多くの種数2の代数曲線のヤコビアンの完全分解が得られると、さらに色々な代数曲線についてヤコビアン分解ができ、コンピュータ探索することで、多数の有理点をもつ代数曲線を得ることができる。多数の有理点をもつ代数曲線のデータベースhttp://www.manypoints.org/も更新できる
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Causes of Carryover |
探索用コンピュータの周辺機器の購入を予定していたが、研究室に再利用出来るものがあったので、次年度使用額が生じた。次年度は探索用のソフトウェアの購入に使用する。
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