2023 Fiscal Year Research-status Report
Ignition and burn dynamics of fast ignition laser fusion under kilo-tesla-class magnetic field and its high efficiency
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23K03360
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
城崎 知至 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10397680)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | レーザー核融合 / 高速点火方式 / キロテスラ級磁場 / 点火燃焼特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
高速点火方式レーザー核融合では、高圧縮燃料コアの一端をレーザー加速電子ビームにより点火温度まで瞬時に加熱し、核融合点火を実現する。大発散角を有するレーザー加速電子ビームをコアまで外部印加のキロテスラ級磁場で誘導して加熱の高効率化を図る磁場ガイド法が提唱され、実験により有用性を実証されている。この超強磁場下での点火・燃焼過程では、磁場に垂直方向の電子熱伝導や核反応生成α粒子の輸送が抑制される。本研究では、理論・数値シミュレーションに基づき、これら超強磁場によるエネルギー輸送抑制下での核融合点火条件や核燃焼特性を明らかにし、その特性を利用した磁場アシスト高速点火方式での高効率な核融合点火・燃焼モードを示すことが本研究の目的である。 2023年度は高利得燃料(面密度 3 g/cm^2^)を対象に解析を行った。点火部形成期においてはα粒子輸送抑制効果で点火部温度上昇が早まるという想定していた現象が生じた。その一方で点火部周囲への加熱が抑制されることで、磁場垂直方向の燃焼領域の拡大、その後の燃焼波伝播が抑制され、核融合出力が低下することが明らかとなった(100kT磁場印加で17%)。 また、高利得燃料で、爆縮燃料形状を楕円体とした場合の燃焼特性について予備的計算を実施し、球体の場合と同様に100kT磁場印加の場合には核融合出力が低下する結果となった。 これら磁場効果は、いずれもα粒子輸送抑制効果によるもので、熱伝導抑制が点火・燃焼に及ぼす影響は小さいことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的である、磁場による電子熱伝導抑制並びにα粒子輸送抑制を通しての核融合点火・燃焼への影響を評価し、熱伝導抑制が点火燃焼に及ぼす効果は小さく、主としてα粒子輸送抑制を通じて点火・燃焼に影響することを明らかにした。α粒子輸送抑制により点火過程では想定した通り点火部温度上昇が早まることが示された。この効果はサイズの小さな点火実験級燃料では有効に働く。一方で、点火から爆発的燃焼に移行する高利得燃料では、点火後の燃焼過程において、α粒子輸送抑制が磁場垂直方向の燃焼波伝播を遅らせる点と、核融合出力が10%あまり低下する点は、想定外であったが、新規の知見であり、本研究での成果である。以上より、本年度予定していた解析は実施できたこと、また新たな知見も得られたことからおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に得られた高利得燃料では磁場によるα粒子輸送抑制が燃焼波伝播過程への移行、ならびに燃焼波の伝播そのものを遅らせることとなり、核融合出力が低下するという知見は想定外のものであった。この結果を受け、磁場配位を変えることで改善を図る。また、燃料サイズを変え、より小さい点火実験級からサイズの大きな高利得級までの解析を行い、燃料サイズ依存性を明らかにする。また、既往研究では、印加磁場下での爆縮計算により、磁場印加方向に圧縮燃料形状が長尺化するという報告がなされている。このような爆縮に対する磁場の影響を簡易的に模擬するために、圧縮燃料形状を球形から変えた場合の点火・燃焼特性も評価する。年度後半期には、電子ビーム輸送を考慮した計算も実施し、印加磁場が高速点火レーザー核融合の点火燃焼に及ぼす効果の総合的評価の頭出しを行う。
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Causes of Carryover |
本年度購入したワークステーションの金額が想定よりも大幅に安かったこと、予定していた消耗品購入や学会発表を次年度に先送りしたことにより、次年度使用額が生じた。これらについては、次年度予算と合わせて、データ保存用データサーバ購入や、国際会議の旅費参加費用、ならびに支援学生の人件費・旅費等に使用する計画である。
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Research Products
(6 results)