2023 Fiscal Year Research-status Report
Improvement of Low-Energy Event Selection at a Water Cherenkov Detector toward Proton Decay Searches
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23K03434
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西村 康宏 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (40648119)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 素粒子 / ニュートリノ / 陽子崩壊 / 大統一理論 / 光電子増倍管 |
Outline of Annual Research Achievements |
素粒子の大統一理論を示唆できる未発見の陽子崩壊の多くのモードは、スーパーカミオカンデで検証されている。水チェレンコフ光は発光量が少なく、多くの光センサによるノイズで特に数MeVの低エネルギー検出性能が制限されており、大半の陽子崩壊モードでは探索感度が落ちてしまう。そこで、本研究ではこのノイズの時間構造を利用して事象選別効率を向上し、陽子崩壊の発見感度を高める。 到達物理感度を抑制している光センサのノイズヒットを落とすため、本年度は実測データを元にした光センサノイズ除去アルゴリズムを開発した。ノイズの主要因の1つであるガラス起因の特徴的なシンチレーション持続光バックグラウンドの時間特性に着目し、機械学習を用いて信号が99%残るように調整したノイズ除去手法で、大気ニュートリノや陽子崩壊を主として用いるデータではノイズ信号の33%を除去でき、より低エネルギーのニュートリノを取得するデータに対しては15%低減を達成した。この違いは取得済時間の長さによるため、トリガーとして実装すればより効率的な除去が可能と見込まれる。また、ノイズ除去後の事象再構成性能向上を検証し、手法の有用性を評価できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スーパーカミオカンデ取得されるデータに対するノイズ除去効率を明らかにし、解析向上は当初の計画通りに進んでいる。エネルギーしきい値に対する向上評価や検出器要素の調査等は、時間と人手の都合からやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
光センサのノイズを落として事象再構成効率と精度を向上させるために、取得ヒットへ識別情報を残し、トリガー時の選別手法実装を推進する。
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Causes of Carryover |
取得済データに対する研究を主として行ったため、観測実証に必要な研究費使用額が少額となった。次年度に検出器とトリガー開発に支出を多く見込むこととなった。
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