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2023 Fiscal Year Research-status Report

太陽風終端領域に見るエネルギー散逸過程の多様性

Research Project

Project/Area Number 23K03475
Research InstitutionThe University of Electro-Communications

Principal Investigator

坪内 健  電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 客員研究員 (60397601)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2027-03-31
Keywords太陽圏 / 太陽風 / ピックアップイオン / 終端衝撃波 / ヘリオポーズ
Outline of Annual Research Achievements

太陽圏終端領域において星間中性原子との電荷交換が太陽風プラズマと電磁場の間に働く相互作用に及ぼす影響を数値シミュレーションで検証する本研究において、特にこの反応から生成されるピックアップイオン(PUI)の存在下でのエネルギー配分の変動に関する研究を進めた。終端衝撃波(TS)と太陽圏界面(HP)で隔たれて区分される3つの領域(TS上流の太陽風、TSとHPに挟まれた内側ヘリオシース、太陽圏外の外側ヘリオシース)のうち、本年度はTS上流の太陽風プラズマの変動に焦点を当てて以下の成果が得られた。
(1)太陽風に対するPUIの密度が高くなるほどエネルギー密度の増加に伴って磁気音波の位相速度が速くなり、衝撃波の形成地点がより太陽圏内部に押し込まれる結果、太陽圏外縁領域(ヘリオシース)の厚みが増した。
(2)数千イオンジャイロ周期まで計算を継続した結果、従来の研究では現れなかったプラズマ不安定性による磁気波動の励起が高PUI密度の場合に確認され、太陽風プラズマを加熱するとともに、乱流磁場生成を促進していた。
(3)太陽風プラズマとPUIを単一流体とみなし、衝撃波におけるランキン・ユゴニオ関係式を用いて計算結果を満たすポリトロピック指数を求めたところ、PUI密度に関係なくおよそ2に収束した。
これらは太陽圏終端領域の熱力学特性を粒子運動の素過程から解き明かしたもので、太陽圏構造を特徴づけるパラメータをより精密に決定することへの寄与が期待できる成果となった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究手法の核となる大型計算機の新システムへの更新作業が遅れたことに伴い、新規の開発を予定していたシミュレーションコードの実装が想定通りに進まなかった。小規模のシミュレーション計算においては当初の計画通り、終端衝撃波上流の太陽風プラズマの加熱過程に関するデータ解析を行い、そこで見出されたパラメータ依存性の考察に基づいた論文の発表準備を進めている。

Strategy for Future Research Activity

当初の研究計画に従い、終端衝撃波下流域における熱的太陽風プラズマと星間中性原子との相互作用効果を取り入れた数値コードを作成し、電荷交換に伴う異粒子種間のエネルギー輸送が太陽圏境界の熱力学状態に及ぼす影響の定量化に努める。対象となる領域において観測から予想されているPUI密度の環境は、定常状態に達するまでの不安定成長を考慮した長期間に渡る計算が必要であることを示唆しており、より大規模なシミュレーションデータの解析手順に関する最適化を行う。

Causes of Carryover

研究の進捗が当初の予定に対して遅れたことによる論文発表の経費と、参加を予定していた学会での発表を体調不良のためキャンセルしたことによる参加費・旅費が未使用となった。この未使用分およびその用途をそのまま翌年度に流用する。

URL: 

Published: 2024-12-25  

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