2023 Fiscal Year Research-status Report
極薄Siウェハのピエゾ効果に関する研究と有機基板へのフレキシブル実装の検討
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23K03577
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小金丸 正明 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (20416506)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 極薄Siウェハの残留応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、極薄化されたSiウェハ上のデバイスの変形下を含む電気的挙動を明らかにする。まず、デバイスが搭載されていないSiウェハを厚さ4水準でバックグラインドして、極薄(10um)を含むSiチップ試験片を作製した。具体的には、4インチウェハを4分割し、厚さ300um、100um、50um、10umの4水準(いずれもチップ大きさは10mm□)の残留応力評価用Siチップ試験片を作製した。 本年度は、上述した試験片に対しラマン分光分析を用いて残留応力の評価を行った。その際、ウェハ中心部と端部のチップで計測を行い、ウェハ位置(バックグラインド位置)による残留応力への影響を評価した。また、バックグラインド面およびその裏面で計測を行い、バックグラインド面およびデバイス搭載(が想定される)面での残留応力を評価した。その結果、チップ厚により顕著な残留応力の違いがあることが明らかとなった。一方、ウェハ位置の違いによる残留応力の顕著な違いは見られなかった。また同様に、バックグラインド面とその裏面とで、顕著な残留応力の違いは見られなかった。極薄チップで計測された大きな残留応力が、バックグラインドによるもの(損傷が原因)なのか、チップの反りによるものなのか、今後詳細に調査する必要がある。 また、応力測定用ピエゾデバイスが形成されたウェハから、同様に300um、100um、50um、10umの4水準(チップ大きさは3mm□または6mm□の2水準)の残留応力評価用試験片を作製した。次年度は、このチップを用いて、抵抗値変化から薄型化によるデバイスの電気特性変動を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
厚さ300um、100um、50um、10umの4水準(いずれもチップ大きさは10mm□)の残留応力評価用Siチップ試験片を作製し、ラマン分光分析を用いてそれぞれの残留応力を評価した。その結果、厚さ300umおよび100umでは残留応力は変化しないが、厚さ50umから残留応力が増大し、厚さ10umでは厚さ300umの約2倍の残留応力が生じることを明らかにした。一方で、ウェア位置およびチップ面での違いは顕著ではないことを示した。本年度得られたこれらの知見は、3次元実装を念頭に置いた極薄チップの実装を検討する際に、非常に有用な知見である。 また、次年度、チップの薄型化によるデバイスの電気特性変動を評価するための試験片を作製した。すなわち、応力測定用ピエゾデバイスが形成されたウェハを同様に300um、100um、50um、10umの4水準(チップ大きさは3mm□または6mm□の2水準)の残留応力評価用Siチップ試験片を作製した。 以上から、当初の予定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
デバイスが搭載されていない厚さ300um、100um、50um、10umの4水準(いずれもチップ大きさは10mm□)の残留応力評価用Siチップ試験片を用いて、ラマン分光分析による残留応力評価をさらに進める(N数を増やす)。また、本年度作製した応力測定用ピエゾデバイスが形成された厚さ300um、100um、50um、10umの4水準(チップ大きさは3mm□または6mm□の2水準)の残留応力評価用ピエゾデバイス試験片で評価を行う。すなわち、バックグラインド前後の抵抗値変化から、残留応力を見積もるとともに、移動度変化(すなわち、デバイスの電気特性変動)量を見積もる。以上の結果から、極薄チップ実装時の電気特性変動(量)について知見を得る。 また、極薄ウェハ上Siデバイスをフレキシブル有機基板(配線)に実装し、フレキシブル性を有する無機-有機のハイブリッドシステムの実現可能性について基礎的検討を行うための試験片の試作を行う。まず次年度は、応力測定用ピエゾチップ(デバイス)の電極パッド位置に合わせたフレキシブル有機基板上の配線図を設計する。これを用いて、研究協力機関である物質・材料研究機構において、極薄チップ実装用のフレキシブル有機基板(配線)を試作する。配線の形成は、フォトマスクを用いた蒸着を検討する。 次に、作製したフレキシブル有機基板へ極薄(厚さ10um)応力測定用ピエゾチップを実装する方法を検討する。具体的には、電極および配線に紫外線処理を行った後、常温接合を試みる。作製した接合試験片を用いて接合強度を評価し、さらに負荷試験への適用性を評価する。
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