2023 Fiscal Year Research-status Report
Investigation for microscopic failure mechanism of CFRP and development for multiscale numerical method
Project/Area Number |
23K03588
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 圭太 名古屋大学, ナショナルコンポジットセンター, 准教授 (00760935)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | CFRP / 繊維/樹脂界面 / 弾粘塑性 / 損傷進展 / 応力三軸度 / マルチスケール |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素繊維強化プラスチック(carbon fiber reinforced plastic:CFRP)に発生する最初期の損傷モードである繊維/樹脂界面損傷の発生メカニズムを詳細に把握することは,CFRPの力学的特性を評価する上で極めて重要である.このため,その発生メカニズムを明らかにすることを目的として,今年度は主に次の2項目について実施した. 1.その場観察試験に基づく炭素繊維/マトリクス樹脂界面強度評価:炭素繊維を幅方向に1本配置した単炭素繊維試験片を用いて引張試験を行い,デジタル画像相関(digital image correlation:DIC)法に基づくその場観察により界面はく離の発生・進展を調査した.界面はく離が発生すると,DIC法では見かけのひずみ集中が観察され,これにより界面はく離の発生を高精度に判定することが可能となった.さらに,界面はく離発生時の応力分布を有限要素法により解析することで,炭素繊維/マトリクス樹脂界面引張強度を実験的に測定可能な手法を構築した. 2.応力三軸度を考慮した弾粘塑性構成式の構築:マトリクス樹脂単体の試験片を用いて引張・圧縮・せん断試験を実施し,それぞれの荷重条件に応じた応力ひずみ関係を取得した.その結果,荷重条件に応じて応力ひずみ関係の非線形挙動が大きく変化し,特に圧縮荷重下においては高い降伏応力を示す傾向が見られたことから,マトリクス樹脂は応力三軸度に依存して粘塑性挙動が変化することが確認された.さらに,得られた試験結果を基に,応力三軸度に応じた粘塑性挙動の変化を再現するために,応力三軸度を変数とした粘塑性構成式を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に計画した実施予定項目についてはおおむね目標を達成しており,有用な研究成果が得られたと判断できる.また,いずれの実施項目に関しても学会発表を行っており,引き続き英語論文の執筆を進めている段階である.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究予定に従い,2024年度は上記の2項目について引き続き手法の高精度化に取り組む予定である.炭素繊維/マトリクス樹脂界面特性に関しては界面強度や破壊靭性の評価を行うとともに,界面力学モデルの構築を試みる.マトリクス樹脂の非線形材料構成式に関しては,粘塑性特性のみならず,損傷・破壊特性についても応力三軸度の影響が示唆されることから,材料試験データを蓄積するとともに,応力三軸度を変数としたマトリクス樹脂の損傷モデルについて検討する予定である.
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Causes of Carryover |
2023年度において次年度使用額が発生した主な理由としては,材料試験で使用する専用の試験治具の製作・加工コストを当初の想定よりも抑えることができたためである.2024年度の助成金と合わせた使用計画としては,今回の次年度使用額を上乗せすることでより高い数値計算能力を有する並列計算用ワークステーションを導入し,数値シミュレーションを効率的に進める予定である.
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