2023 Fiscal Year Research-status Report
ディープラーニングを用いた分散気泡流の気泡・ボイド率の空間3次元分布計測手法の開発
Project/Area Number |
23K03685
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
上澤 伸一郎 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (80737073)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 可視化計測 / 気泡流 / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
ディープラーニングによる画像認識技術を用いた分散気泡流の気泡・ボイド率の空間3次元分布計測手法の確立とその応用として、R5年度では以下の項目を実施した。 ①気泡・ボイド率の空間3次元計測手法の開発(1年目実施予定) ディープラーニングによる画像認識技術として、Shifted window Transformer(Swin Transformer)を用いた気泡検出技術を開発した。この技術を用いることにより、気泡が多数重なる場合でも、既存の画像処理よりも容易に検出、輪郭の取得が可能になった。また、垂直上昇流に対してハイスピードビデオカメラを2台設置し、水平方向に90°ずらした2方向から撮影することにより、各気泡の3次元位置を取得するとともに、気泡の長軸、短軸、アスペクト比、気泡速度等を取得できることを確認した。また、3次元気泡位置を時系列に取得することにより、複数の気泡の3次元的な挙動を同時に捉えられるようになった。 ②本計測技術の正確性の検討 本計測技術の正確性を確認するため、Generative Adversarial Networks (GAN)で取得した気泡の画像を用いて、教師画像数に対する平均適合率(AP)を計算したところ、教師画像の数が50枚で十分なAPとなることを確認した。また、配管やバンドル流路体系における気泡可視化実験で取得した画像に対しても、重なり合う気泡の中から個々の気泡を検出できることを確認した。その結果を用いて、界面積濃度とボイド率を算出し、既存の関係式と比較したところ、良く一致することを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ディープラーニングによる画像認識技術を用いて分散気泡流の空間3次元計測が可能どうかの検証を事前に進めていたこともあり、予定通りに進捗することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
ディープラーニングによる画像認識技術を用いた分散気泡流の気泡・ボイド率の空間3次元分布計測手法の確立とその応用として、R6年度では以下の項目を実施する予定である。 ①本計測技術の適用可能範囲の検討 本手法のようにディープラーニングによる画像認識技術を用いていても、ボイド率が高くなるにつれて、気泡の重なりが多くなり個々の気泡の検出が困難になってくると考えられる。本研究課題では、ボイド率をパラメータとした気泡流の計測を実施し、本手法のボイド率に対する適用可能範囲について検討する。 ②模擬燃料集合体への応用 より複雑な流路体系への本手法の応用として、模擬燃料集合体への応用を実施する。一般的に模擬燃料集合体では模擬燃料が流路内にあるため、ハイスピードカメラによる可視化計測を実施しても模擬燃料の影になる部分は計測できない。また、アクリル樹脂やガラス等の透明体を使用しても、水との屈折率が異なるため、模擬燃料棒として円柱形状を採用すると模擬燃料越しに見た気泡が大きく歪み、正確に計測することができない。そこで本研究課題では、模擬燃料棒の材質として、水に近い屈折率を持つ材質を使うことにより、燃料集合体体系における詳細な気泡・ボイド率の3次元空間分布を取得する。
|
Causes of Carryover |
R5年度に購入を予定していた気泡特徴量3次元分布計測システムを独自に開発することができたため、システム購入費用が次年度額として生じた。次年度使用額は、R6年度分研究費と合わせて、R6年度に度実施予定の燃料集合体体系の可視化計測に必要な試験部の製作費として使用する予定である。
|