2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of an advanced method for energy recieved microwave absorber.
Project/Area Number |
23K03848
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
小畑 輝 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 技術支援本部多摩テクノプラザ電子技術グループ, 副主任研究員 (50781027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 卓司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20361743)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 反射抑制 / 電波吸収 / 周波数選択表面 / アンテナ / スロット / 広帯域化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は金属パターン層,誘電体層,矩形スロット層から成る,電波の反射抑制と電波の受信/受電を同時に行う構造の性能改善および設計手法の確立を目的とし,①入射角による反射抑制性能の低下を低減した構造の提案・試作及び特性評価,②等価回路理論による設計手法の展開を行う.3年間の研究期間の1年目である今年は,上記①の構造の提案までを実施し次の成果を得た. 構造の決定には電磁界解析ソフト(MW-studio)を活用し,検討構造に対し平面波を照射した時の反射波および透過波を解析しその結果を特性の良し悪しとして判断した.入射角による反射抑制性能の低下を低減するため,金属パターン層の金属形状を円形ではなく矩形とした.また周波数特性が広帯域となる構造を選択することで周波数変動が生じても特性変化の影響が小さくなることを意図し,広帯域化が見込める金属パターン層の積層構造をベースにパターンの形状を模索した.本研究では2層の金属パターン層を設け,それぞれの共振周波数をずらすことにより広帯域化を実現したが,形状決定の複雑さを避けるため,金属パターンが互いの共振周波数特性に作用しにくいよう,表層パターンの外形<内層パターンの外形,表層パターンの共振周波数>内層パターンの共振周波数,という条件を満たす外形および特性であることが望ましいことが判明した.そのため,同形状の金属パターンを積層させる場合,状が大きいほど低い共振周波数を示すため上記条件を満たすことができない.表層パターンは正方形を中抜きした形状(片仮名のロの字),内層パターンは正方形状の金属パターンとし構造を決定した.電磁界解析により、同一周波数の入射角0~60°において反射量-10dB以下となることを確認し,同材料・厚みの正方形パターン形状に比べ入射角による性能低下が低減されたことを示した.今後これら成果を学術学会や論文を通して発表する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の申請段階における1年目の目標として,エネルギー回収型電波吸収体の入射角による周波数依存性の低減と題し,目標の特性を得るためのパターン形状や配置構造の決定を挙げていた.その目標を順調に達成できたので,上記の「おおむね順調に進展している」の評価となっている.詳細な説明を下記に示す. 入射角による周波数依存性を低減するため,まずは金属パターンの基本形状に着目した.いくつかの形状について解析を行い方形形状が特性,製作のし易さの面で優れていることが分かった.次に周波数特性を広帯域化する積層構造について解析を行った.金属パターン配列型の電波吸収体と同様に,本提案構造でも金属パターンの積層によって複数の共振周波数特性を得られることを確認した.2つの金属パターンを積層させ,共振時の電界分布を解析すると,表層の金属パターンによる共振周波数では表層-内層の金属パターン間に電界が集中すること,内層の金属パターンによる共振周波数では内層-スロット層間に電界が集中することを確認した.後者の共振はアンテナの特性にも依存するため,それぞれの共振周波数は任意に設計できることが望ましく,表層の共振周波数のみ制御できるよう正方形を中抜きした金属パターンを採用した.中抜きする大きさによって表層の共振周波数が低周波に推移するが,外径を一定とすることで内層の共振周波数はほぼ変化しない.そのため任意周波数での特性を得るために最適化し易い形状かつ,等価回路化を見据えた単純な形状によって,入射角による周波数依存性を低減させる構造を決定できている.よって,上記評価となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に決定した構造について,試作品の作成および特性の評価を行い提案構造の実証を行う.実験に必要な環境(電波暗室,ネットワークアナライザ,信号発生器,スペクトラムアナライザ,回転機構を備えた試験台,基板切削機)は研究代表者が所属する機関に備わっており,これらを駆使して研究を進める.簡易的な試作は基板切削機により行う予定だが,切削精度が比較的低いため,最終的にはエッチングを用いた製作(外注予定)を行う.その後,設計手法へ展開するため,提案形状の等価回路モデル化を進めていく.既存アンテナや電波吸収体の等価回路モデルを活用することで提案構造の層毎に等価回路化を行い,電波吸収特性に関わる等価回路部とアンテナ特性に関わる等価回路部を明らかにする.また,これまでの成果をまとめ,学会での研究発表や学会誌への論文投稿を積極的に行う予定である.
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Causes of Carryover |
初年度中に試作品の外注に至らなかったためである.次年度使用額分については,試作品の外注費等消耗品の購入費に使用する.
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