2023 Fiscal Year Research-status Report
ヘリウムフリーμMRI実現を目指した多重加熱法によるMgB2超伝導接合の臨界電流改善
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23K03947
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
田中 博美 米子工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60511491)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 電気材料 / 合成と評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではμMRIに必要なMgB2超伝導接合で問題となっている低い臨界電流を改善し、ヘリウムフリーμMRIの実用化を促進する。 現状のMgB2超伝導接合の作製法は、高磁場下でのIcを高めるためにMg融点以下での低温加熱(600℃)が採用されている。一方、低温加熱では接合のバルク中間層に非超伝導相が多く残存し、Icが非常に低い。そのためMRIシステム全体のIcが低く抑えられるという問題を抱えている。そこで我々は、接合とコイルそれぞれを最適温度で加熱できる多重加熱法を提案した。具体的にはMgB2超伝導線材芯線を、バルクを介して芯線間を接合する。その際、MRIコイル用加熱炉とは独立した2次ヒータで局所追加熱(~ + 150℃)できるシステムを構築した。構築したシステムを用いて、局所加熱温度を600~750℃に変更して超伝導接合を作製し、その特性を評価した。 多重加熱法で作製した接合試料をダイヤモンドブレードで切断し、MgB2超伝導線材とSUS容器内の粉体の接合界面が観察できるまで研磨を行った.研磨処理した試料断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope : SEM)を用いて観察した。その結果、Mgの融点以上で加熱した試料においては、融点以下の加熱試料に比べて空隙がより多く観察された。これは、MgとBの化学反応が一層進んでMgB2が形成されたためであると考えられる。実際、X線回折(X-ray Diffraction: XRD)による構造解析ではMgB2相に対応するXRDピーク強度が増加し、逆に不純物相であるMgOの強度が低減していた。 従って、我々の構築した多重加熱法によるMgB2超伝導接合の作製は、接合のバルク中間層における非超伝導相を低減させるための手法として、有効であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究では、MgB2超伝導線材芯線をバルク経由で芯線間の接合する際、MRIコイル用加熱炉とは独立した2次ヒータで局所追加熱できるシステムを構築できた。また構築したシステムを用いて、局所加熱温度を600~750℃に変更して超伝導接合を作製し、不純物相であるMgOを低減することに成功した。以上のことから、本研究は、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、MgB2接合内部に多く存在する空隙を低減し、Ic改善に繋げるためにホットプレス法の導入を試みる。特に還元雰囲気中でもホットプレスが実現できるよう装置の設計・作製を行う。そして接合作製時の条件(印可圧力、時間等)を種々に変えながら最適化を行う。これにより、加圧しながらの加熱処理を行い、空隙を効果的に低減させてIcの増加を目指す。
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Causes of Carryover |
R5年度に製作予定だった「還元雰囲気中ホットプレス装置」の設計が間に合わなかったため当該残額が生じた。R6年度は本システムの設計を完成させ、製作する際の経費として当該残額を使用する予定である(真空引き用のポンプ代も含む)。
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Research Products
(5 results)