2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of "ultra" large displacement dynamic analysis algorithm using machine learning
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23K04007
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
帯屋 洋之 佐賀大学, 理工学部, 教授 (90264150)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 異常検知アルゴリズム / Isolation Forest / QR法 / 固有振動数の補正法 / 動的減衰比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の実施計画としては、①機械学習によるモード制御アルゴリズムの開発、②これを検証するためのリング開放モデル室内実験、の2項目を掲げていた。 ①については、異常検知に特化した教師無し学習アルゴリズム"Isolation forest"を用いて、モード加速度の振る舞いをモニタし、フィードバックするシステムに取り組んでいる。幾何学的非線形解析におけるモーダルアナリシスの精度向上のため、各種固有値解析手法(サブスペース法、QR法)の適否を検討している。 ②については、H鋼土台と薄板リング部材によるリング開放室内実証実験モデルを作成し、購入した一眼レフカメラにより、数多くの画像データを取得した。この画像データを本研究において開発した、大変位動的解析プログラムによる数値シミュレーションと比較すると、以下の二つの課題が浮かび上がった。 1)大変位の条件下においては、実現象に比べ数値解は固有振動数を低めに評価して、実際よりも周期が大きくなる。変形挙動の精確な再現のためには、剛性に補正を掛けることも有効な手立ての一つと考えられ、ヤング率を補正することを検討したところ、適正な補正率と細長比の間に有意な相関があることが明らかになった。 2)リングが開放されたのち、当初の数周期における挙動に整合する減衰比を与えた場合、その後さらに数周期を経た一定時間経過後には、実挙動に対して、シミュレーションでは減衰が効きすぎてしまう様子が観察される。これに関しては、初期変位が大きいほどこの傾向が顕著に表れるため、幾何学的非線形性の強弱が影響しているものと考えられる。よって、今後は減衰比の動的な設定手法についての検討に入る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実施計画としては、①機械学習によるモード制御アルゴリズムの開発、②これを検証するためのリング開放モデル室内実験、の2項目を掲げていた。 ①については、異常検知アルゴリズムによるトリガー選定とともに、モード拘束に伴う精度確保のための固有値解析の検討に入っており、この結果次第で、完全なエネルギー保存を満足する、1/100秒刻みでのシミュレーションの実現が見えてくると考えている。 ②については、これらの前提となる「リング開放モデル」を主題として、「Newmarkβ法におけるβ=1/2の採用による、エネルギー保存性の向上」、「固有振動数補正手法の基本的な考え方」等について取りまとめた論文”A Foundational Study on Rational Optimization of Damping Ratio for Accurate Dynamic Simulation with Ultra Large Displacement”を国際会議IconCEESにて発表し、さらにSelected Paperとして、論文集INTERNATIONAL JOURNAL OF INTEGRATED ENGINEERINGに採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
「トリガー閾値設定のための固有値解析手法の検討」:本研究の目的とするところは、エネルギー保存を乱す要因となるようなモード加速度の挙動を検知し、当該モードの変位拘束により、エネルギーの急激な増大を抑制することにある。幾何学的非線形解析においては、全モードの固有ベクトルデータを要するため、Jacobi法またはQR法も用いてきたが、Lanczos法などのより高精度とされている手法の導入を検討する。 「動的減衰比の提案」:これまでの研究において、減衰比は幾何学的非線形性の強弱に強い相関があることが判った。ゆえに、変位または変形状態に依存する動的な減衰比設定法を検討する。 「質量マトリックスの幾何学的非線形性に関する検討」:レイリー減衰を用いた場合、超大変位解析では、剛性比例項の寄与はほとんどなく、質量比例剛性としての取り扱いが適当である。連成項を有する整合質量マトリックスを用いた場合、要素の方向余弦の関与により、質量マトリックの幾何学的非線形性を考慮する必要があると考えられ、その合理的な運用について検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由: 消耗品レベルの差額であり、概ね適正に執行できたと考えている。 使用計画: 次年度も適正に執行する。
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Research Products
(5 results)