2023 Fiscal Year Research-status Report
Verification of the Accuracy of a Hybrid Ground Structure Estimation Method and its Application to Heavy Snowfall Areas to Mitigate Damage
Project/Area Number |
23K04034
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
落合 努 神奈川大学, 建築学部, 助教 (70867829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 義也 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (30336523)
三辻 和弥 山形大学, 工学部, 教授 (90292250)
先名 重樹 国立研究開発法人防災科学技術研究所, マルチハザードリスク評価研究部門, 主任専門研究員 (90500447)
荏本 孝久 神奈川大学, 公私立大学の部局等, 名誉教授 (90112995)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 三次元地下構造モデル / ボーリングデータ / 常時微動データ / 豪雪地帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ハイブリッドな地盤構造推定法の精度検証と豪雪地域への適用による被害軽減への試みを目的としている。研究対象は山形県沿岸部の庄内平野とした。 初年度は、既往検討で取得済みのデータの再検証を行い、モデル化に必要な不足データの検討を行った。また、この検討に基づき追加で10か所程度で微動アレイ観測を実施した。これらのデータを用いて、庄内平野の最上川河口付近を対象に地盤構造の推定を行い、定性的な観点からの精度検証を行った。この成果については、2023年度日本地震工学シンポジウムにて発表済みである(Day1-G417-20)。詳細は、発表論文に記載の通りであるが、ボーリングデータに常時微動データを加えて地盤構造を推定することで、ボーリングデータが少ないエリアでも地盤構造の推定が可能となった。また、定性的な観点であるが、精度検証も進めている。地形特性が異なる3か所で重複反射理論に基づく地盤増幅特性を算出し、それぞれ異なる特性の地盤震動特性が評価でき、定性的には作成したモデルの妥当性が検証できた。 また、作成する地盤構造の評価や一般の方への説明を行うために基礎的な検討として、3Dモデルを用いた表現についての検討も進めた。これに関連した内容で、一般市民向けの講座で講演を行った。また関連した論文の投稿を2024年に予定している。 積雪に関する研究については分担者である三辻を中心に進めていて、伝統木造寺院建築の積雪時の振動特性に関する検討を行い、その成果を学会にて報告している。 その他、関連する研究として、2024年1月1日に発生した能登半島地震の被害調査を行っている。もともとの研究対象であった庄内平野と異なるが、日本海側の沿岸部に発達する地方都市として共通の特性も多い。実際の地震被害を確認することは、今回の研究成果にも非常に参考になると判断して現地調査を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度である2023年は、まず地盤構造推定手法の概要を確認するために、ある程度限られたデータではあるが主に既往の取得済みデータを用いた検討を進めている。具体的には、既往検討で確認した不足した地域に対し追加で微動アレイ探査を実施した。また、そのデータを用いた地盤構造の推定を試みることで、推定手法の検討を行っている。作成したモデルの妥当性検証としては、いくつかの地形区分が異なる地域に対し伝達関数を確認することで行っている。 積雪に関する研究については、分担者である三辻を中心に計画通り進行中である。 計画時には、地盤構造の定量的な評価のために臨時地震観測の実施を計画していた。しかし、設置場所などの調整に想定より時間がかかり、2023年度は観測を開始することができなかった。今年度は、計画通り観測が開始できるように準備を進めていきたい。 一方で、2024年1月1日に、能登半島を震源とする最大震度7を記録する地震が発生した。今回の研究対象地域である庄内平野は、震源からやや遠かったため幸い大きな被害は発生していない。しかし、日本海側の沿岸部で発生した地震であり、輪島市や金沢市の内灘地区、珠洲市など甚大な被害が発生した地域は、庄内平野と似た特徴である部分も多い。そこで、当初の計画には入っていなかったが、本研究の一環として現地調査を実施している。例えば、金沢市内灘地区や新潟県新潟市は、日本海沿岸部に発達した砂丘末端部で甚大な液状化被害が発生している。このような地形の特徴は、日本海側の沿岸部では典型的な地形の特徴であり、庄内平野でも共通の特徴であることなどが確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度末に、研究分担者とメールでのやり取りなどにより2024年度の活動方針を定めた。まずは当初の計画通り、地元の大学である三辻らと共同して、臨時の地震観測地点の選定と早急な観測の開始を計画している。また、地下構造作成については、小田らや落合で協力し深さや領域を拡張した作成を計画している。 また、能登半島地震に関連した被害調査は、実施したばかりで詳細な分析まで進んでいない。これらの分析を進めて、庄内平野との比較検討などを行う予定としている。
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Causes of Carryover |
当初計画していた臨時地震観測が未実施のため、その整備費や旅費が発生しなかったため計画より支出が少ない。 上記残額分は2024年度に実施する地震計の整備などへの使用を計画している。一方で、近年の技術革新により当初計画よりも安価で高精度な地震計の採用も考えている。その場合の計画予算に対する差額は、計画時に見込んでいなかった能登半島地震の被害調査の旅費としての使用も計画している。
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