2023 Fiscal Year Research-status Report
流れ-河床変動過程における内的・外的不確実性を踏まえた河道被災ポテンシャル評価
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23K04038
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩崎 理樹 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70727619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 朋人 北海道大学, 工学研究院, 教授 (10554959)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 不確実性 / 河床変動 / 河岸侵食 / クラスタリング / k-shape / iRIC-Nays2DH |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道十勝川水系ペケレベツ川を対象とし,d4PDF降雨データを力学的ダウンスケーリングした詳細降雨分布計算結果に対して流出計算を実施し整理されている多数の年最大イベントのハイドログラフ群をk-shapeクラスタリングによって分類し,特徴的なハイドログラフ形状について検討した.その結果,ハイドログラフは大まかに最大ピーク前後に第2のピークを持つかか,また最大ピークと第二ピーク間の時間が離れているか,で5つに分類できることを示した.同様の解析をより規模の大きな河川である同水系の音更川へ適用したところ,概ね同様の波形特性で分類できることを確認したが,音更川のほうが流量波形のばらつきがより大きく,流域規模によって流量の不確実性は異なることが示唆された.
このように分類されたハイドログラフがどのような河床変動を引き起こすかについて,iRIC-Nays2DHによる計算を実施した.平成28年9月豪雨時の流量と同一のピーク流量を有するハイドログラフを各クラスターより抽出し,これらを上流端境界条件とした河床変動計算を実施することで,河床・河岸侵食に及ぼす流量波形の影響について定量的に評価した.その結果,流量波形に応じて河岸侵食量に違いがあり,特に最大ピークよりも前に第二ピークがあるハイドログラフでは,前半のピークによって河岸侵食が進行することで河道内に土砂堆積を引き起こすため,最大ピーク時にはその河床上昇によって流路が変動しやすく,側岸侵食が大きくなりえることが明らかとなった.
上記のような河床変動に及ぼす外的不確実性影響とは別に,流砂モデルが持つ内的不確実性の影響を評価するために,蛇行流路における混合砂河床を対象とした室内実験結果に対して,流砂モデルや遮蔽効果,また代表粒径の取り方などを変化させた河床変動計算を行い,再現性に対する各種流砂モデル要素が及ぼす影響について検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通り,流量ハイドログラフの不確実性についてd4PDF関連の研究より整理されている大規模流量データを解析することにより定量的に評価でき,さらにこれら流量の不確実性が河床変動結果に与える影響についても検討することができた.内的不確実性の影響についても,河床変動計算において最も不確実性の影響が大きいと考えられる流砂モデルの選択に関しても実験結果との比較を通じて検討しており,全体的に順調に研究が進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
音更川において整理した流量ハイドログラフ群が持つ河床変動への不確実性について検討し,ペケレベツ川との際について考察することでスケール効果について議論する.また,内的不確実性については,同種の検討を実河川スケールで検討することで,実際の河川災害を評価するうえでの不確実性について議論する.
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Causes of Carryover |
本年度実施の成果発表の一部を次年度4月に開催される国際会議で発表することとしたため,主にその旅費分について次年度使用額が発生しているが,その分についても年度早々に執行される予定である.また,次年度以降については得られた研究成果を国内外の学会で積極的に発表するための学会参加費・旅費を中心に予算執行をする予定である.
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