2023 Fiscal Year Research-status Report
磁気スキルミオンのカイラリティを利用したメモリ・ロジックデバイスの開発
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23K04526
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
仲谷 栄伸 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20207814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 啓介 岐阜大学, 工学部, 准教授 (50721792)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 磁気スキルミオン / メモリ・ロジック素子 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、強磁性と非磁性膜のスタック構造(多層構造)を有する薄膜内に形成される磁気スキルミオンのトポロジー性である磁化構造の極性を利用して、外場による極性の制御を目指す。最終的には、メモリ機能とロジック機能を兼ね備えたメモリ・ロジック素子(=混載メモリ)の設計・開発を目指して研究を実施する。本研究の課題は、今までに注目されてこなかった磁気スキルミオンの極性を利用したメモリの創出を目指す点に新規性や創造性が大きく、国内外においても先駆けて設計指針を示していることから、研究を実施していく意義が高い研究である。 今年度はロジック素子を構成する基本的な論理回路であるAND及びOR回路について研究を行った。対象とする回路は2入力1出力の回路であるため、回路はY字合流構造の細線で実現した。この回路に対し、カイラリティ(CCW及びCW)の組み合わせを変化させてスキルミオンを入力し、出力されるスキルミオンのカイラリティをシミュレーションで調べた。スキルミオンはスピン電流により回路内を移動させ、また合流部にはスピンオービットトルクを加えた。Y字合流の角度を30°から75°、スピン電流を0.2から1.0 TA/m2、スピンホール角を0.05から0.3radまで変化させてシミュレーションを行ったところ、複数の場合においてANDもしくはOR回路として動作できる条件があることがわかった。動作条件は合流角度により変化し、合流角度60°の場合、最も広い動作マージンが得られることがわかった。動作マージンが最大となる条件は、合流角度60°、スピンホール角0.13radであり、この場合有効なスピン電流の範囲は0.5から0.8TA/m2であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ロジック回路の基本回路であるAND及びOR回路をスキルミオンのカイラリティを利用し、さらに実現可能な動作条件で実現できることを示すことができたため、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
全ての論理回路はNAND回路を組み合わせることにより構成できる。NAND回路は今回作成したAND回路にNOT回路を組み合わせることにより実現できるため、今後はNOT回路の実現方法について研究を行う。またANDとNOTを組み合わせることなく、一つの回路でNAND回路を実現する方法についても研究を行う。
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