2023 Fiscal Year Research-status Report
CDK9タンパク質のAFF依存的および非依存的機能とその制御機構
Project/Area Number |
23K06379
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
九十九 伸一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (10346596)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 細胞周期 / 抗体のクラススイッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
Cdk9のT細胞特異的欠損マウス、B細胞特異的欠損マウスの解析を行った。 Cdk9は、RNA polymerase II (RNAPII) のC末端部位をリン酸化することによりmRNA転写の促進を制御していると考えられている。そのためすべてのRNAPIIによる転写に必要であると考えられる。その一方で、ストレス応答や分化刺激などに対する応答において、特定の遺伝子を選択的に制御しているとの報告もあり、決着はついていない。 今年度の研究では、Cdk9のT細胞特異的欠損マウスを解析し、その役割については検証した。その結果、すべての転写が抑制されるということはなく、またTh1分化等には影響は認められなかった。その一方、CD4+CD8+から成熟T細胞へと分化する際に変化する遺伝子のうちの一部に発現低下が見られ、成熟T細胞の生存と活性化の際の細胞増殖の著しい低下が認められた。一方、RNAPIIのリン酸化には影響がなかった。活性化させたCdk9欠損T細胞は、遺伝子発現解析とRBタンパク質のリン酸化の解析から、G1期で細胞周期が停止してることが示された。T細胞の機能に関連する遺伝子については、影響を受けないものと低下するもの、上昇しているものが認められた。これらの結果から、Cdk9はT細胞においてこれまで知られていない機能を有しており、特に細胞の生存と細胞周期の制御が最も関連の深い機能であることが示された。また、一部の分化・活性化関連因子への影響も認められているため、細胞種特異的な遺伝子発現の制御も行っている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cdk9欠損マウスのT細胞に関する解析を行い。これまでに予想されていなかった表現型を発見した。また、その分子機構も定説と異なることから、Cdk9の新たな役割を明らかにする手がかりを得ることができた。研究計画通りに進んでおり、おおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
T細胞におけるCdk9の分子機能を、Aff1/4・Aff3欠損マウスの解析と比較して、Cdk9欠損マウスの表現型が、Aff1ファミリー遺伝子に関連したものなのかどうかを検証する。また、Cdk9結合タンパク質をBioID2融合Cdk9タンパク質の細胞内発現により同定することを試みる。Cdk9の基質については、Cdk9欠損細胞においてリン酸化の減少したタンパク質を質量分析により同定することを試みる。また、B細胞やMEFにおけるCdk9欠損の表現型も解析し、T細胞との違いがあるかどうかを検証する。
|
Causes of Carryover |
(理由) 3月納品となり、支払いが完了していないため。 (計画) 4月に支払いが完了する予定である。
|
Research Products
(1 results)